カヤクグリ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/24 15:43 UTC 版)
名前の由来
学名のPrunella rubidaは、「赤い褐色の小鳥」を意味し[11]、種小名rubidaは「赤い、赤みがかった」の意。和名は冬季に藪地(カヤ=ススキなどの総称)に潜むように生活し、なかなか姿を見せず藪の下を潜ることに由来する[4][11]。藪の中を好み体色がミソサザイに似ていることから江戸時代には、「おおみそさざい」、「やまさざい」と呼ばれていた[11]。「しばもぐり」、「ちゃやどり」の異名をもつ[11]。和名は夏の季語となっている[11]。
種の保全状況評価
国際自然保護連合(IUCN)により、レッドリストの軽度懸念(LC)の指定を受けている[1]。個体数は安定傾向にある[1]。日露渡り鳥条約の指定種[18]。
日本では以下の都道府県でレッドリストの指定を受けている[19]。
- Aランク - 兵庫県[注釈 2][20]
- 絶滅危惧II類(VU) - 鳥取県[16]、愛媛県[21]、徳島県[22]
- 準絶滅危惧(NT)- 秋田県、栃木県[24]、東京都北多摩・南多摩・西多摩、高知県、福岡県[25]、[注釈 4][26]
- その他
カヤクグリ属
カヤクグリ属(学名:Prunella Vieillot, 1816 )はイワヒバリ科に分類される唯一の属で、以下の種が知られている[2][30]。ヨーロッパ、サハラより北のアフリカ、南の半島部を除くアジアに分布し、低木林などの山地に生息する[30]。全長13-18 cm、体重18-26 g[30]。地上、低木の中、岩の隙間などにカップ形の巣を作る。3-6個の明るい青緑色から青色の模様がない卵を産む[30]。抱卵期間は11-15日、孵化後12-14日で巣立つ。夏は主に昆虫を食べ、冬に植物の種子や果実を食べる[30]。
- イワヒバリ P. collaris (Scopoli, 1769) - 南西、南中央、東ユーラシア大陸と北西アフリカから日本にかけて分布する。
- ヒマラヤイワヒバリ P. himalayana (Blyth, 1842) - 中央アジアに分布する。
- ムネアカイワヒバリ P. rubeculoides (Moore, F, 1854) - ヒマラヤに分布する。
- アカチャイワヒバリ P. strophiata (Blyth, 1843) - ヒマラヤに分布する。
- ヤマヒバリ P. montanella (Pallas, 1776) - ユーラシア大陸の北部と東部に分布する。まれに冬鳥として日本に飛来する[10]。
- ウスヤマヒバリ P. fulvescens (Severtsov, 1873) - ユーラシア大陸の中南部と東部に分布する。
- コーカサルイワヒバリ P. ocularis (Radde, 1884) - ユーラシア大陸の中南部に分布する。
- アラビアイワヒバリ P. fagani (Ogilvie-Grant, 1913) - アラビア半島南西部に分布する。
- ノドグロイワヒバリ P. atrogularis (von Brandt, JF, 1843) - ユーラシア大陸の南西部と中部に分布する。
- シロハライワヒバリ P. koslowi (Severtsov, 1887) - ユーラシア大陸の中南部と東部に分布する。
- ヨーロッパカヤクグリ P. rubida (Linnaeus, 1758) - ユーラシア大陸の西部と南西部、アフリカ北西部に分布する。
- カヤクグリ P. rubida (Temminck & Schlegel, 1845) - 日本(北海道、本州中部以北、四国、九州)、ロシア(南千島)に分布する。以下の2亜種に分類されることがある[10]。
- クリイロイワヒバリ P. immaculata (Hodgson, 1845) - ヒマラヤからブータン北部と中国中央部にかけて分布する。
注釈
出典
- ^ a b c “Prunella rubida (Japanese Accentor) in IUCN Red List of Threatened Species. Version 2014.2” (英語). 国際自然保護連合(IUCN). 2014年10月21日閲覧。
- ^ a b c d “IOC World Bird List 4.3 (Waxbills, parrotfinches, munias, whydahs, Olive Warbler, accentors & pipits)” (英語). 国際鳥類学会議(IOC). 2014年10月21日閲覧。
- ^ “Prunella rubida (Temminck & Schlegel, 1845)” (英語). ITIS. 2014年10月21日閲覧。
- ^ a b c d e 真木 (2012)、187頁
- ^ a b c d e f g h i j k l m 真木 (2014)、652頁
- ^ a b c d e f g 叶内 (2006)、463頁
- ^ a b c d e f g h 中川 (2010)、176頁
- ^ a b c d e f g h i 五百澤 (2014)、304頁
- ^ a b c d 高木 (2000)、71頁
- ^ a b c d e f g 日高 (1997)、94頁
- ^ a b c d e f 国松 (1995)、180頁
- ^ 笹川 (2011)、390頁
- ^ 梓川鳥類生態研究会 (1993)、11頁
- ^ a b c 梓川鳥類生態研究会 (1993)、12頁
- ^ a b c d e 日高 (1997)、95頁
- ^ a b “レッドデータブックとっとり改訂版(動物)” (PDF). 鳥取県. pp. 67 (2012年). 2014年10月21日閲覧。
- ^ a b c d 小海途 (2011)、128-129頁
- ^ a b “青森県レッドデータブック(2010年改訂版)” (PDF). 青森県. pp. 208 (2010年). 2014年10月21日閲覧。
- ^ “日本のレッドデータ検索システム「カヤクグリ」”. (エンビジョン環境保全事務局). 2014年10月21日閲覧。 - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。
- ^ “兵庫県レッドデータブック「カヤクグリ」” (PDF). 兵庫県 (2003年). 2014年10月22日閲覧。
- ^ “愛媛県レッドデータブック「カヤクグリ」”. 愛媛県 (2003年). 2014年10月21日閲覧。
- ^ “徳島県版レッドデータブック” (PDF). 徳島県. pp. 86 (2011年8月). 2012年12月13日閲覧。
- ^ “奈良県版レッドデータブック(鳥類)”. 奈良県 (2002年). 2014年10月21日閲覧。
- ^ “栃木県版レッドリスト(2011改訂版)「カヤクグリ」”. 栃木県 (2011年3月). 2014年10月21日閲覧。
- ^ “福岡県の希少野生生物 RED DATA BOOK 2011 FUKUOKA「カヤクグリ」”. 福岡県 (2011年). 2014年10月21日閲覧。
- ^ “レッドデータブックおおいた” (PDF). 大分県. pp. 326 (2001年). 2014年10月21日閲覧。
- ^ “千葉県レッドデータブック動物編(2011年改訂版)” (PDF). 千葉県. pp. 121 (2011年). 2014年10月21日閲覧。
- ^ “いわてレッドデータブック 岩手の希少な野生生物 web版「カヤクグリ」”. 岩手県 (2014年3月). 2014年10月21日閲覧。
- ^ “福井県レッドデータブック(動物編)「カヤクグリ」”. 福井県 (2002年). 2014年10月21日閲覧。
- ^ a b c d e 黒田 (1986)、62頁
- ^ 五百澤 (2014)、302頁
- ^ 三省堂編修所・吉井正 『三省堂 世界鳥名事典』、三省堂、2005年、529頁。ISBN 4-385-15378-7。
固有名詞の分類
- カヤクグリのページへのリンク