オオクワガタ オオクワガタの概要

オオクワガタ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/29 10:10 UTC 版)

オオクワガタ
オオクワガタ(♂)
保全状況評価
絶滅危惧II類 (VU)環境省レッドリスト
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: コウチュウ目 Coleoptera
亜目 : カブトムシ亜目 Polyphaga
上科 : コガネムシ上科 Scarabaeoidea
: クワガタムシ科 Lucanidae
: オオクワガタ属 Dorcus
亜属 : オオクワガタ亜属 Dorcus
: ホペイオオクワガタ
Dorcus hopei
亜種 : オオクワガタ
D. h. binodulosus
学名
Dorcus hopei binodulosus
Waterhouse, 1874
和名
'オオクワガタ

確認された野生個体では体長がオオクワガタより長くなる種が数種あるが、胴体の割合が大きく体幅が広く、体積では日本最大のクワガタムシといえる。

飼育個体を含めると後述の通り、他種の追随を許さない群を抜く巨大種である。

飼育下での繁殖法が確立されているものの、乱獲や丘陵地の開発や森林伐採などにより野生個体の生息が危ぶまれており、2007年には準絶滅危惧種から絶滅危惧II類に引き上げられた。

形態

体長は♂50mm - 93.2mm、♀25mm - 61.5mm。

最大記録は2022年現在、上記の通り♂93.2mm、♀61.5mmである。

野生下における最大個体の記録は山梨県北巨摩郡須玉町(現:北杜市)仁田平にて1981年7月25日に鈴木良廣が採集した76.6mmの♂成虫で[1]、昆虫飼育・採集用品販売や昆虫関連書籍・雑誌販売を手掛ける「むし社」(本社:東京都中野区)が確認した2019年11月時点における飼育下の最大個体は、2019年11月に発表された91.7mmの♂成虫(第12代目飼育レコード。菌糸ビンで育成し2019年7月14日に羽化)である[2]

♂は大きな内歯(内側のトゲ)1対と、先端部分に小歯を1対を備えた太く内側に湾入した大腮を持つ。

鞘翅を含む外皮のキチン質がよく発達して分厚く固く、同種の♂や他種の大型クワガタムシに噛まれても容易に傷付かない。♀の外皮は特に固い。

脚は太短く強壮で附節と爪は太く頑丈で樹にしがみつく力が強い。前脛節は直線的で♀では先端部が外側に反り、ヒラタクワガタの大型♀との識別点のひとつになる。

体色は全身黒色だが上翅はやや黒褐色を帯びることがある。♀や小型の♂の鞘翅上面は滑らかで強い光沢があり、明瞭な点刻列がある。頭部や前胸にも強い光沢がある。中~大型の♂は体表の光沢が鈍く、翅鞘に明瞭な点刻列はないが、不明瞭な縦条が見られる。自然界には存在しないと思われる、80mmを超える超巨大♂では体表はほぼ艶消しとなる個体が多い。超巨大な飼育個体は翅鞘に皺が発生しやすいが、自然界でも大型の♂は鞘翅に皺がある個体が少なくない。

眼縁突起は眼の4/5を縁どり後方でわずかに切れている。

♂の小型個体では大腮先端の小歯は消失するが、中央の内歯は かなり小型の個体でも見られこの種群の特徴となっている。

内歯の位置は体長によって変化し、大型個体から順に、第1内歯が大顎の中央部分から前方に向かって生える「大歯型」、第1内歯が大腮の中央部分から ほぼ直角に内側に向いて生える「中歯型」、第1内歯が大腮の基部に生える「小歯型」と呼ばれる個体変異がある。ただし、ツヤクワガタ属のクワガタムシやアルキデスヒラタクワガタなどの体の大きさに影響されない明瞭な歯型変異に対し、本種の変異は体の大きさに伴う連続的なものである。特に中歯型と小歯型の区別は難しい。

※ツヤクワガタ属やアルキデスヒラタクワガタなども中間的な歯型を持つ個体が非常に少ないだけで、厳密にいえば連続している。

生息域は局所的で移動が少ないため生息地による遺伝的形質に変異が生ずる。それらの中で特徴的な多産地の形質が愛好家のあいだでは「優良血統」ととらえられ研究の対象となっている。

主な優良血統

  • 能勢血統
  • 信玄血統
  • 久留米血統
  • 川西血統
  • 熊谷血統
  • TFO血統

※上記血統のいくつかは大型化し、外国種との交雑疑いの可能性が指摘されることがあるが、DNA検査などによって明確に証明された例は無い。


  1. ^ 「徹頭徹尾総力特集!!日本のオオクワガタ大特集!! 2016」『BE・KUWA(ビークワ)』第60号、むし社、東京都中野区、2016年8月12日、 14頁。
  2. ^ 「第19回クワガタ飼育レコードコンテスト」『BE・KUWA(ビークワ)』第73号、むし社、東京都中野区、2019年11月15日、 6頁。
  3. ^ 『オオクワガタ 乱獲が森の生態系壊す 無責任の果て、無残なクヌギ林』2004年(平成16年)4月28日(水)読売新聞山梨版
  4. ^ 『消えたオオクワガタ…木の伐採・乱獲など要因はさまざま - 佐賀』YOMIURI ONLINE 2009年8月30日
  5. ^ 『生きものたちのSOS エピソード3夏 9:オオクワガタ』福井新聞2009年7月17日


「オオクワガタ」の続きの解説一覧




オオクワガタと同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「オオクワガタ」の関連用語

オオクワガタのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



オオクワガタのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのオオクワガタ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2023 GRAS Group, Inc.RSS