ちまき 台湾

ちまき

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/14 13:01 UTC 版)

台湾

台湾の北部粽
小豆餡入りの鹸粽

南北で多少異なり、それぞれ「南部粽」、「北部粽」と呼ばれる。この他に、「客家粽」と呼ばれるもの、「鹸水粽」、「鹸粽」とよばれるあくまきなどがある。

北部粽
生の米を水に浸しておき、水を切ってから五香粉胡椒醤油などを加えて調味し、米を蒸すか炒める。ある程度火が通った状態で、肉などとともに竹の皮で包み、しっかり蒸す。
南部粽
生のもち米を水に浸し、豚肉、シイタケ、塩漬けアヒルの卵黄、エシャロット落花生切り干し大根などの具とともに竹の葉に包んで、鍋で煮る。
客家粽
南部粽と同じようなものを蒸して作る「米粽」の他、「粄棕」と称するモチ米を水に浸しておいてから石臼で擂り、容器の底にたまった米粉を団子にして、切り干し大根や調味料とともに竹の葉で包んで蒸すものがある。
アバイ
南東部に住む原住民のルカイ族パイワン族プユマ族などは、アワタロイモ、モチ米などを用いムラサキ科のトリコデスマ・カリコスム(Trichodesma calycosum var. formosanum。假酸漿)の葉とゲットウの葉で包んだちまきを食べる習慣がある。

1989年の旧暦端午の節句に、台湾省彰化県では重さ350キログラムもの巨大ちまきが作られたことがある。

東南アジア

マレーシアのクトゥパッ
インドネシアのバッツァン

シンガポール、マレーシア

シンガポールマレーシアは福建系の移民の子孫が多いためか、これらの国のちまきは基本的に中国福建式の肉粽(Bak Chang)が主流である。豚の角煮、しいたけ、干しエビなどを具とし、醤油砂糖五香粉白胡椒などで味付けをしている。地域が変わるとピーナツや豆が具に加わることもある。また、中国とマレー文化の融合したニョニャのちまきとして「娘惹粽(Nyonya Chang)」とも呼ばれるものもあり、これは豚肉の具にコリアンダースパイス冬瓜砂糖漬けなど加えてやや甘めの味付けがされる。また、餅米にカンスイを加えて味付けをせずに蒸した鹸水粽(Kee Chang)というミニサイズの粽もある。これはデザートとして椰子糖のシロップや、カヤ(ココナッツミルクと卵で作ったジャム)を添えて食べる。

インドネシア、タイ

インドネシアタイのちまきも基本的に中国系の国民が作るが、主に福建料理風であり、名称も閩南語のbah-chàng(バーツァン、漢字では「肉粽」)からの借用語でバッチャン/バチャン(インドネシア語: Bakcang/Bacang)、バチャーン(タイ語: บะจ่าง)と呼ばれる。脂身の多い豚肉落花生などを煮て包んだ甘辛い味である。

脚注


注釈

  1. ^ 『續齊諧記』のこのくだりは、江戸時代の『和漢三才図会』や[9]、明治の『古事類苑』にも引かれている[11]

出典

  1. ^ a b 古今圖書集成』 巻51、《風俗通義》の引用。
  2. ^ 許 2004, pp. 39–40.
  3. ^ 許, 若馨 Xu Ruoxin (25 June 2020), “端午節|糉、粽、糭哪個字才正確?中文系講師端午節「糉」字逐個解”, Ming Pao 明報, https://news.mingpao.com/ins/%E6%B8%AF%E8%81%9E/article/20200625/s00001/1592921167670/%E7%AB%AF%E5%8D%88%E7%AF%80-%E7%B3%89-%E7%B2%BD-%E7%B3%AD%E5%93%AA%E5%80%8B%E5%AD%97%E6%89%8D%E6%AD%A3%E7%A2%BA-%E4%B8%AD%E6%96%87%E7%B3%BB%E8%AC%9B%E5%B8%AB%E7%AB%AF%E5%8D%88%E7%AF%80%E3%80%8C%E7%B3%89%E3%80%8D%E5%AD%97%E9%80%90%E5%80%8B%E8%A7%A3 。学者である若震認 Hung Yeuk Chun による考証。
  4. ^ a b c 林 1990, p. 119.
  5. ^ 渡部忠世、深澤小百合『もち(糯・餅)ものと人間の文化史89』法政大学出版局、1998年。ISBN 4-588-20891-8 
  6. ^ 小林 & 冨安 2009, p. 23、渡部 & 深澤 1998[5]に拠る。
  7. ^ a b c d 荒井三津子, 云肖梅「年中行事の菓子--日本と中国の比較研究(1)」『北海道文教大学研究紀要』第33号、北海道文教大学、2009年3月、69-80頁、ISSN 13493841NAID 110008003125 
  8. ^
  9. ^ a b c 小林 & 冨安 2009, p. 23.
  10. ^ 古今圖書集成』 巻51、《續齊諧記》の引用。
  11. ^ 古事類苑』歳時部十六>五月五日 巻51、《續齊諧記》の引用。
  12. ^ Chittick (2010), p. 111: "there is no evidence that he was widely worshiped or much regarded in popular lore prior to the sixth century CE".
  13. ^ 張 2012, pp. 193–194, 197.
  14. ^ 張 2012, p. 196.
  15. ^ 許, 2004 & 39-40.
  16. ^ a b c d e 端午の節句の「ちまき」 包まれた中身が東西で違う!”. ウェザーニュース. 2020年5月10日閲覧。
  17. ^ a b c 宗政五十緒、森谷尅久 編『京都歲時記』淡交社、1986年、174ページ






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