古高ドイツ語とは? わかりやすく解説

古高ドイツ語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/10/05 09:42 UTC 版)

古高ドイツ語 (ここうドイツご、ドイツ語: Althochdeutsch) は、8世紀から11世紀までの文献によって伝えられている、第二次子音推移を示す書き言葉(Schreibsprache)としてのドイツ語である[1]

方言

中部と南部に大別される。南部のほうが子音推移の破裂音の無声化の傾向が強い。

中部 (中央) 方言

南部 (上部) 方言

文献

古ドイツ語の文献は多くはキリスト教に関連するものである。

  • 最古の文献は8世紀頃 (750年〜780年) に書かれたアブロガンス (Abrogans) と呼ばれるラテン語-ドイツ語の対訳表である。
  • 現存する文献の大部分を占めるのはヘーリアントとオットフリートの福音書である。
  • 口伝にもとづく (とみなされている) 英雄詩としてはムースピリ (Muspilli) が唯一のものである。
  • ラテン語によらない作品で最古のものはヒルデブラントの歌とヴェッソブルンの祈りであるとされる。

音韻

9世紀の東フランク方言のものをあげる (タツィアーンの福音書で福音書の翻訳に用いられたのが東フランク方言であったため標準的な語形として東フランク方言のものが用いられる)。

母音

  • 短母音: a, e, i, o, u (文法書ではもともとのeとaのウムラウトの表記のeとを区別してëが用いられることがある)
  • 長母音: ā, ē, ī, ō, ū
  • 二重母音: ei, ie, ou, uo, iu, io

子音

  • b, d (語頭でth [ð]), g, p, t, k
  • f, h, s, ph (あるいはpf) [pf], z [ts], s, s (文法書ではIPAの「ʒ」のように書く特殊な文字を使うがここではsと区別しない)
  • m, n, l, r, w, j
  • sp, st, sk

形態

名詞

によって語形が変化する。

人称代名詞

一人称
単数 複数
主格 ih wir
属格 mīn unsēr
与格 mir uns
対格 mih unsih
二人称
単数 複数
主格 thu,thū ir
属格 thīn iuwēr
与格 thir iu
対格 thih iuwih


三人称
男性
her
中性
is
女性
siu
単数 複数 単数 複数 単数 複数
主格 her,er sie is siu siu,sī,si sio,sie
属格 sīn iro es,sīn iro ira iro
与格 imo in imo in iru,iro in
対格 inan sie is siu sia sio,sie
  • 他に一人称に双数属格unkērがある (それ以外の双数形は不明である)。


動詞

  • 法: 直説法接続法命令法
  • 時制: 現在形、過去形
  • 人称・数: 一人称単数、一人称複数、二人称単数、二人称複数、三人称単数、三人称複数

によって語形が変化する。変化の形式は強変化動詞、弱変化動詞、過去現在動詞、不規則動詞に大別され、強変化動詞は八種類、弱変化動詞は三種類に細分される。

前置詞

  • ab, aba
  • after
  • anan
  • āno
  • ēr
  • fon, fona
  • for, fora
  • mit
  • nāh
  • ob, oba
  • ubar
  • zi
  • thurh
  • umbi
  • untar
  • unz
  • ūfan
  • ūs
  • sīd
  • widar
  • in
  • innan
  • ingegin
  • ir

関連項目

脚注

  1. ^ Werner König: dtv-Atlas zur deutschen Sprache. Tafeln und Texte. München: Deutscher Taschenbuch Verlag, 1978 (ISBN 3-423-03025-9), S. 73.

古高ドイツ語

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/05 14:53 UTC 版)

i-ウムラウト」の記事における「古高ドイツ語」の解説

西暦900年頃の古高ドイツ語では/a/>/e/の変化のみが見られその後/o/>/y/,/o/>/ø/の変化起きる。なぜoとuが後から変化したのかについては、表記にないだけで異音として存在していたという説と、aからの類推生じたという二つがある。 現代標準ドイツ語ではä、ö、üで表記され、これらの記号ウムラウトという。

※この「古高ドイツ語」の解説は、「i-ウムラウト」の解説の一部です。
「古高ドイツ語」を含む「i-ウムラウト」の記事については、「i-ウムラウト」の概要を参照ください。

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古高ドイツ語

出典:『Wiktionary』 (2021/08/11 09:05 UTC 版)

言語コード
ISO639-1 -
ISO639-2 goh
ISO639-3 goh
SIL -

名詞

ドイツ語(ここうドイツご)

  1. 記録されたドイツ語のうち最も古い形態のもので、850年から1050年にかけて用いられたもの。

異形

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