古馬王道路線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/27 22:20 UTC 版)
古馬王道路線(こばおうどうろせん)とは、日本の中央競馬における4歳(旧5歳)以上の古馬が出走可能な大阪杯、天皇賞(春)、宝塚記念、天皇賞(秋)、ジャパンカップ、有馬記念の6つの中長距離GI競走である。
概要
日本の競馬において年齢制限のない芝競走のうち、2000mから3200mの中長距離GI競走はスプリント戦、マイル戦、牝馬限定戦に比べて賞金が高く設定されている[1]。 GI競走の11着以下の馬に交付される特別出走奨励金もこれら6競走は他のGI競走より高く設定されている[2]。
大阪杯・天皇賞(春)は4歳以上の馬、宝塚記念・天皇賞(秋)・ジャパンカップ・有馬記念は3歳以上の馬に出走権がある[1]。
春に開催される大阪杯・天皇賞(春)・宝塚記念を同一年に全て勝利することは春古馬三冠、秋に開催される天皇賞(秋)・ジャパンカップ・有馬記念を同一年に全て勝利することは秋古馬三冠と呼ばれ、それぞれJRAから褒賞金が交付される[3]。また、1年間で6競走中3勝した場合も褒賞金が交付される[4]
競走馬で最も多く勝っているのはテイエムオペラオー・キタサンブラックの6勝。次いでイクイノックスの5勝、スピードシンボリ・シンボリルドルフ・シンボリクリスエス・ディープインパクト・ゴールドシップ・アーモンドアイの4勝と続いている。
種牡馬で最も多く勝っているのはサンデーサイレンスの20勝[注 1]、次いでディープインパクトの15勝、ステイゴールドの13勝[注 2]、ヒンドスタンの12勝[注 3]と続いている。
完全制覇を達成しているのは2025年現在ディープインパクトのみだが、大阪杯のGⅠ昇格前にはパーソロン・サンデーサイレンス・オペラハウス等が他の5競走を制しており、ジャパンカップ創設前にはヒンドスタン等が他の4競走を制していた[注 4]。また、現役の産駒がいる種牡馬ではハーツクライが王手をかけている[注 5]
騎手で完全制覇を達成しているのは2025年現在武豊のみで、いずれの競走でも最多勝利[注 6]あるいは最多勝利タイ[注 7]を記録している。 現役騎手で完全制覇に王手をかけているのはミルコ・デムーロ(天皇賞(春)未勝利)、クリストフ・ルメール(大阪杯未勝利[注 8])、和田竜二(大阪杯未勝利)等がいる。
大阪杯のGI昇格後に引退した騎手で完全制覇に王手をかけていたのは蛯名正義[注 9]等がいた。
大阪杯のGI昇格前に引退した騎手では岡部幸雄[注 10]、南井克巳が他の5競走を制覇していた。また、当時の完全制覇に王手をかけていた騎手に柴田政人[注 11]等がおり、ジャパンカップ創設前には宮本悳[注 12]、伊藤竹男・加賀武見・保田隆芳[注 13]、野平祐二[注 14]、福永洋一[注 15]等がいた。
調教師で現在の古馬王道路線6競走を完全制覇した調教師はいない。現役調教師で完全制覇に王手をかけているのは友道康夫[注 13]等がいる。
大阪杯のGI昇格前には岩元市三が完全制覇を達成しており、池江泰郎[注 14]等が完全制覇に王手をかけていた。また、ジャパンカップ創設前には武田文吾等が他の4競走を完全制覇しており、尾形藤吉[注 13]、藤本冨良[注 14]等が完全制覇に王手をかけていた。
古馬王道路線優勝馬一覧
- 牝馬は文字を太字、3歳馬は斜字で表記。
- 開催順は大阪杯→天皇賞(春)→宝塚記念→天皇賞(秋)→ジャパンカップ→有馬記念である。
年間5勝以上 |
年間4勝 |
年間3勝 |
脚注
注釈
- ^ GⅡ時代の産経大阪杯を除く。但し、こちらも勝利した産駒がいた
- ^ GⅡ時代の産経大阪杯を除く。但し、こちらも勝利した産駒がいた
- ^ グレード制導入以前の産経大阪杯を除く。但し、こちらも勝利した産駒がいた
- ^ 上記のいずれも、産駒がGⅡ時代の産経大阪杯にも勝利している
- ^ 天皇賞(春)未勝利
- ^ 天皇賞(春)・宝塚記念・ジャパンカップ
- ^ 大阪杯(GI昇格後)・天皇賞(秋)・有馬記念
- ^ 但しGII時代に勝利している
- ^ GII時代を含めて大阪杯未勝利
- ^ GII時代の大阪杯も勝利
- ^ ジャパンカップ未勝利
- ^ 天皇賞(春)未勝利
- ^ a b c 宝塚記念未勝利
- ^ a b c 天皇賞(秋)未勝利
- ^ 有馬記念未勝利
- ^ 大阪杯は1957年にハンデキャップ重賞として創設、2017年にGIへ昇格[5]。
- ^ 天皇賞(春)は1943年まで「帝室御賞典」、1944年「能力検定競走」、1947年「平和賞」、1948年「天皇賞」に改称[6]。
- ^ 宝塚記念は1960年に創設[7]。
- ^ 天皇賞(秋)は1943年まで「帝室御賞典」、1947年「天皇賞」に改称、1984年に3200mから2000mへ距離短縮[8]。
- ^ ジャパンカップは1981年に国際招待競走として創設[9]。
- ^ 有馬記念は1956年に「中山グランプリ」として創設、1957年「有馬記念」に改称[10]。
- ^ a b c d e 1944年秋から1946年まで天皇賞(春)・天皇賞(秋)にあたる競走は太平洋戦争の影響により中止[11]。
- ^ 第104回はメジロマックイーンが1位で入線したがスタート直後に斜行し、18位で入線したプレジデントシチーの進路を妨害したとして審議の結果、最下位(18着)に降着。2位で入線したプレクラスニーが繰り上がった(参考:メジロマックイーンの走破時計 2:02.9)[12]。
- ^ 第30回はブエナビスタが1位で入線したが最後の直線で2位入線のローズキングダムの進路を妨害したとして、審議の結果2着に降着処分を受け、ローズキングダムが繰り上がりで優勝となった(参考:ブエナビスタの走破タイム 2:24.9)[13]。
出典
- ^ a b 『2024年度重賞競走一覧〔関東・関西別〕』(プレスリリース)JRA。オリジナルの2024年4月13日時点におけるアーカイブ 。
- ^ 『本会が指定するGⅠ競走における特別出走奨励金交付基準』(プレスリリース)JRA。オリジナルの2024年4月13日時点におけるアーカイブ 。
- ^ 『同一年度に本会が定める競走に優勝した馬に対する褒賞金交付基準』(プレスリリース)JRA。オリジナルの2024年4月13日時点におけるアーカイブ 。
- ^ https://news.netkeiba.com/?pid=news_view&no=285387
- ^ “大阪杯とは?”. JRA-VAN. 2024年7月23日閲覧。
- ^ “天皇賞(春)とは?”. JRA-VAN. 2024年7月23日閲覧。
- ^ “宝塚記念とは?”. JRA-VAN. 2024年7月23日閲覧。
- ^ “天皇賞(秋)とは?”. JRA-VAN. 2024年7月23日閲覧。
- ^ “ジャパンカップとは?”. JRA-VAN. 2024年7月23日閲覧。
- ^ “有馬記念とは?”. JRA-VAN. 2024年7月23日閲覧。
- ^ “能力検定競走”. JRA. 2024年7月26日閲覧。
- ^ “1991年4回東京8日( 10月 27日) 10R”. JRA. 2024年7月23日閲覧。
- ^ “第30回 ジャパンカップ”. JRA. 2024年7月23日閲覧。
各回競走結果の出典
- 『中央競馬全重賞競走成績集【GI編】』JRA、2006年12月。
- JRA公式ホームページ
参考文献
- 『中央競馬全重賞競走成績集【GI編】』JRA、2006年12月。
関連項目
- 古馬王道路線のページへのリンク