人工飼育
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/05 23:15 UTC 版)
前述の通り実験素材として優れていたが、イカ類は臆病で神経質な種が多いため飼育が非常に難しく、ノーベル賞受賞者のコンラート・ローレンツも「人工飼育が不可能な動物」としてヤリイカを挙げていたほどである。 しかし1975年、電子技術総合研究所の松本元がこれに成功した。脳科学者である彼は生物の飼育は専門外だったが、神経・情報伝達研究のため、3年がかりで達成した。これを知ったローレンツはただちに現地に赴き、一週間に及ぶ慎重な検証を重ねた結果、率直にこれを認めた。このとき彼は、開発された飼育技術に対し、「全ての水産生物の未来を変える」とまで評価している。 ポイントは、円形水槽の回転水流で泳がせ続けることと、アンモニア除去の徹底(検出下限未満まで)で、特にアンモニアは循環濾過フィルター内にアンモニアを酸化する細菌(亜硝酸菌)と、それを還元する細菌(嫌気呼吸菌、脱窒菌)の繁殖・保持により達成された。これは現在の海水魚飼育で、基本的な技術となっている。
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