プロトン・ポンプとは? わかりやすく解説

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プロトンポンプ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/06 22:10 UTC 版)

プロトンポンプ:Proton Pump)は、生物体内で生体膜において水素イオンプロトン)の能動輸送を担う膜タンパク質の総称である。エネルギー源として、ATP加水分解光エネルギー酸化還元反応を利用するものに分類される[1]。生体膜の内外に膜電位や水素イオンの濃度勾配を作り出し、ATP合成や二次能動輸送のエネルギーなどに利用される。ATP合成酵素の逆反応として、ATP加水分解によるエネルギーを利用してプロトンポンプとして働く機能も持つ。

プロトンポンプの例としてプロトンポンプが挙げられる。胃プロトンポンプは、胃酸を分泌する壁細胞の細胞内細管小胞と分泌側膜(頂端膜)の両方に存在し、ATPの加水分解エネルギーにより、分泌細管内に存在しているカリウムイオンとの対向輸送アンチポート)により水素イオンを胃内部へ放出する[2][3]

高度好塩菌の表面に存在する紫膜では、バクテリオロドプシンと呼ばれるタンパク質が配向しており、光エネルギーを利用しプロトンポンプ機能を発現している。このほか光合成反応中心(光による)や、電子伝達系酸化還元による)もプロトンポンプ機能を持っている。

関連項目

脚注

  1. ^ 石川 et al. 2010, p. 1151.
  2. ^ 酒井 2019, p. 857-860.
  3. ^ 世界初!胃酸分泌を担う胃プロトンポンプの構造を解明―胃酸抑制剤結合構造と強酸に対してプロトンを吐き出す仕組み― (プレスリリース)”. www.amed.go.jp. 国立研究開発法人日本医療研究開発機構 (2018年4月5日). 2019年4月13日閲覧。 “消化にとって重要な臓器である胃の表面には、胃酸を分泌する胃プロトンポンプが発現しています。このプロトンポンプが、細胞内のエネルギーを利用してH+(プロトン)を胃の内部へと輸送することで、胃の内部をpH1という強い酸性環境にしています。これは消化にとって重要であり、胃潰瘍の原因にもなるため、胃酸抑制剤のターゲットとされています。”


参考文献

  • 石川統; 黒岩常祥; 塩見正衛 ほか 編『生物学辞典』東京化学同人、2010年。ISBN 978-4-8079-0735-9 
  • 酒井秀樹 著「第53章 胃」、本間研一; 大森治紀; 大橋俊夫 ほか 編『標準生理学』(9版)医学書院、2019年。 ISBN 978-4-260-03429-6 

プロトンポンプ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/03 07:41 UTC 版)

電子伝達系」の記事における「プロトンポンプ」の解説

プロトンポンプは、膜の内外プロトン勾配作り出すプロセスである。プロトン物理的に膜を通り抜けることができ、この現象ミトコンドリア複合体I及びIV見られる同様の作用は、電子反対側に動くことによっても作り出されるその結果プロトン細胞質側から消えペリプラズム側に現れたように見える。ミトコンドリア複合体IIIはこの2つ目の型のプロトンポンプで、キノン(Qサイクル)によって仲介される。 全てではないが脱水素酵素一部もプロトンポンプである。オキシダーゼレダクターゼのほとんどはプロトンポンプであるが、違うものもある。シトクロムbc1は、全てではないが多く細菌見られるプロトンポンプである(大腸菌では見られない)。その名前が示す通り細菌のbc1は、ミトコンドリアのbc1(複合体III)に似ている。 プロトンポンプは、電子伝達プロセス中心であり、膜の内外での電気化学的勾配作りATP合成酵素ATP合成できるようにする。

※この「プロトンポンプ」の解説は、「電子伝達系」の解説の一部です。
「プロトンポンプ」を含む「電子伝達系」の記事については、「電子伝達系」の概要を参照ください。

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