bystander effectとは? わかりやすく解説

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バイスタンダー効果

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/02/28 05:21 UTC 版)

バイスタンダー効果(バイスタンダーこうか、英語: Bystander Effect)は、「電離放射線(以下において放射線と表記)を直接照射された細胞だけでなく、その周囲の直接照射されていない細胞(バイスタンダー細胞)にも放射線を照射された影響がみられる」という現象である。バイスタンダーとは、「傍観者(bystander)」の意味である。1992年11月にハーバード大学のNagasawaとLittleによって世界で初めて報告された[1]

放射線による影響は、直接照射された細胞のみに認められると長い間考えられてきたが、1990年代以降、その周囲の照射されていない細胞(バイスタンダー細胞)にも認められるとする報告が相次いだ。具体的には、低線量の放射線を細胞群に照射すると、放射線を直接照射された細胞だけでなく、照射されなかったはずの細胞にまでも、遺伝的不安定性[2]、DNA損傷、染色体異常、細胞分裂・増殖阻害、アポトーシス(細胞の自殺)、突然変異の誘発など[3]の放射線の影響が観察されるようになった。その後、この現象は「バイスタンダー効果」という用語で呼ばれるようになり、そのメカニズムには放射線に直接照射された細胞と照射されていない細胞(バイスタンダー細胞)間のシグナル伝達が重要な役割を果たすことが示唆された[4]

現在、バイスタンダー効果の成因として、細胞間接着装置であるギャップ結合や、細胞間のシグナル分子である活性酸素(ROS)、サイトカインなどが密接に関与すると考えられている。また、東京理科大学小島らによって、エネルギー供与体であるアデノシン三リン酸(ATP)と細胞膜上に発現するATP受容体(P2受容体)を介したシグナル伝達の関与も報告されている[5]

脚注

  1. ^ Hatsumi Nagasawa and John B. Little (1992) Induction of sister chromatid exchanges by extremely low doses of alpha-particles. Cancer Research: November 1992, Vol. 52, No. 22, pp. 6394-6396
  2. ^ 近藤隆ほか編 編『放射線医科学 : 生体と放射線・電磁波・超音波』大西武雄監修、学会出版センター、2007年。ISBN 978-4-7622-3055-4 
  3. ^ くらしとバイオプラザ21. “談話会レポート「もらい泣きする細胞の話〜放射線誘発バイスタンダー効果」”. 最新ニュース一覧. 2012年2月3日閲覧。
  4. ^ 松本英樹 著「特別講演2 放射線誘発防護的バイスタンダー応答と適応応答」、根井充編 編『生き物はどのようにして放射線に立ち向かうのか : DNA損傷応答と適応応答』放射線医学総合研究所〈放医研シンポジウムシリーズ. 放射線防護研究センターシンポジウム第3回〉、2009年。 ISBN 978-4-938987-59-6 
  5. ^ Mitsutoshi Tsukimoto, Takujiro Homma, Yasuhiro Ohshima, and Shuji Kojima (2010) Involvement of Purinergic Signaling in Cellular Response to γ Radiation. Radiation Research: March 2010, Vol. 173, No. 3, pp. 298-309

参考文献

関連項目

外部リンク


傍観者効果

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2026/02/26 23:13 UTC 版)

傍観者効果(ぼうかんしゃこうか、英語: bystander effect)とは、社会心理学の用語であり、集団心理の一つ。ある事件に対して、自分以外に傍観者がいる時に率先して行動を起こさなくなる心理である[1]。傍観者が多いほど、その効果は強力なものになる。

これは、以下の3つの考えによって起こる。

多元的無知
他者が積極的に行動しないことによって、事態は緊急性を要しないと考える
責任分散
他者と同調することで責任や非難が分散されると考える
評価懸念
行動を起こした時、その結果に対して周囲からのネガティブな評価を恐れる

キティ・ジェノヴィーズ事件

キティ・ジェノヴィーズ事件は、1964年にニューヨークで起こった婦女殺人事件である[2]。この事件がきっかけとなり、傍観者効果が提唱された。社会心理学を学ぶ際には、必ず触れられる有名なエピソードである。

この事件では、深夜に自宅アパート前でキティ・ジェノヴィーズ(1935年 - 1964年)が暴漢に襲われた際、彼女の叫び声で付近の住民38人が事件に気づき目撃していたにもかかわらず、誰一人警察に通報せず助けにも入らなかったというものである(ただし深夜だったので「女性が襲われている現場」を目撃したわけではない住民も含まれている可能性がある)。結局、暴漢がその後2度現場に戻り、彼女を傷害強姦したにもかかわらずその間誰も助けには来ず、彼女は死亡してしまい、当時のマスコミは都会人の冷淡さとしてこの事件を大々的に報道した。

なお犯人は逮捕前にも多数の強姦と2件の強姦殺人を犯しており、裁判で当時の心境を問われた際に「あいつ(目撃者)はすぐ窓を締めて寝るだろうと思ったが、その通りだった」と述べるなど、経験則として傍観者心理を理解していた[3]

ただし現在では、当時の住民たちの「被害者が角を曲がって死角に入ったため見えなくなり、事態は終わったと思った」などの証言や「実際には警察に通報した者が居た」と言った事実に基づき、この事件が傍観者効果によるという定説は疑問視されている[4]

ラタネとダーリーの実験

1968年、心理学者のラタネ (en:Bibb_Latané) とダーリー (en:John M. Darley) は、キティ・ジェノヴィーズ事件に興味を持ち、「多くの人が気づいたからこそ、誰も行動を起こさなかった」と仮説を立て実験を行った[5]

この実験では、学生を2名、3名、6名のグループにわけて、相手の様子が分からないようにマイクとインターフォンのある個室にそれぞれ1名ずつ通す。その後グループ討議を行わせ、1名が途中で発作を起こす演技をするというものであった。

この時、行動を起こすかどうかを確認し、また、その時間を計測した。結果として、2名のグループでは最終的に全員が行動を起こしたのに対し、6名のグループでは38%の人が行動を起こさなかったことが確認された[6]

実験から導かれる事件の説明

実験により、キティ・ジェノヴィーズ事件は、報道のように「都会人の心が冷淡だから」誰も助けなかったのではなく、「多くの人が見ていたために」誰も助けなかったことがわかった。事実、キティ・ジェノヴィーズ事件では、多くの住民が自分以外の住民も事件を目撃していることに気づいていた。

このような事件を防ぐには、人間の心理そのものを消したり改造することはまず無理であるから、この傍観者効果によって助けなかった人間を非難するのではなく、傍観者効果が発動してしまわないような社会システムを作ることが重要になってくる。

脚注

  1. ^ 『大人も知らない?続ふしぎ現象事典』2023年、マイクロマガジン社、p. 64
  2. ^ Queens Woman Is Stabbed To Death in Front of Home New York Times, p. 26, 1964年3月14日
  3. ^ ROBERT D. McFADDEN (2016年4月16日). “Winston Moseley, Who Killed Kitty Genovese, Dies in Prison at 81”. THE NEW YORK TIMES. https://www.nytimes.com/2016/04/05/nyregion/winston-moseley-81-killer-of-kitty-genovese-dies-in-prison.html?_r=0 2017年5月18日閲覧。 
  4. ^ What Really Happened The Night Kitty Genovese Was Murdered?(2014年3月3日)
  5. ^ Bystander Intervention in Emergencies: Diffusion of Responsibility Darley, J.M.; Latané, B. (1968). Journal of Personality and Social Psychology. 8(4), pp.377–383.
  6. ^ 渋谷昌三『3分でわかる心理学』(大和工房、2011年) ISBN 978-4-479-30330-5

関連項目

  • 傍観
  • 社会的手抜き
  • いじめ
  • 働きアリの法則
  • サイレント・マジョリティ
  • 善きサマリア人の法 - 救難に陥った者を助ける際、善意で行動した救助者がその結果の如何によらず責任を問われないことを規定する法。傍観者効果を抑制し、救護を促進することが法目的である。
  • ウォッチメン - 「キティ・ジェノヴィーズ事件」が登場。同事件は同作のヒーローの一人であるロールシャッハの意識(認識)を変えさせるきっかけとなった重大な事件とされている。
  • しあわせアフロ田中 - 4巻で傍観者効果を題材とした話がある。やじ馬はおろか助けを求める家主・関係者でさえも消防車を呼ばずに、燃え盛る物件を前に嘆く様が描かれている。
  • 事なかれ主義



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