Rim15の役割
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/31 15:40 UTC 版)
Rim15は二倍体の酵母細胞での減数分裂の開始に重要な役割を果たす因子として最初に発見された。酵母の生存に重要な栄養源であるグルコースや窒素が乏しい条件下では、二倍体酵母細胞はearly meiotic-specific genes(EMG、減数分裂初期特異的に発現する遺伝子群)を活性化することで減数分裂を開始する。EMGの発現はUme6によって調節されている。Ume6は、グルコースと窒素のレベルが高い時にはヒストン脱アセチル化酵素のRpd3(英語版)とSin3をリクルートしてEMGの発現を抑制し、グルコースと窒素のレベルが低い時にはEMGの転写因子Ime1をリクルートする。Rim15はRpd3とSin3を除去し、Ume6がEMGのプロモーター領域へIme1をリクルートして減数分裂の開始を可能にする。 減数分裂の開始における役割に加えて、Rim15はストレス存在下でのG0期への移行にも重要な影響を与える因子であることが示されている。いくつかの異なる栄養シグナル伝達経路からのシグナルはRim15へ統合され、Rim15は転写因子Gis1、Msn2、Msn4を活性化する。Gis1はpost-diauxic growth shift(PDS)エレメントを含むプロモーターに結合して活性化を行い、Msn2とMsn4は stress-response element(STRE)を含むプロモーターに結合して活性化を行う。Rim15がどのようにGis1とMsn2/4を活性化するのかは明らかではないが、直接的なリン酸化またはクロマチンリモデリングを介した機構が想定されている。Rim15はN末端にPASドメイン(英語版)を持つ、PASキナーゼファミリーの新規メンバーであることが判明している。PASドメインはRim15の調節ユニットであり、酵母における酸化ストレスの検知に関与している可能性がある。
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