Prodrive F1とは? わかりやすく解説

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プロドライブF1

(Prodrive F1 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/04/30 18:19 UTC 版)

プロドライブ F1(Prodrive F1)は、かつてF1参戦を目指していたレーシングチーム。レーシングカーコンストラクターのプロドライブを母体とし、イギリスウォリックシャー州バンベリーに本拠地を置く予定であった。チーム代表はデイヴィッド・リチャーズ

概要

2008年の参戦断念

2006年3月、国際自動車連盟 (FIA) が募集した2008年のF1参戦チーム選考にエントリー申請を行った。この募集には既存の11チームと、プロドライブを含む11の新チームが応募した。同年4月28日、FIAが発表したエントリーリストの中で、新チームとしては唯一参戦を承認された[1]。チームはイギリスのレーシングカーコンストラクターであるプロドライブを母体とするが、マシンは自社開発せずにカスタマーマシンを使用し、シャシーをマクラーレンから、エンジンメルセデスから供給を受けて参戦するといわれていた[2]

しかし、2007年10月にウィリアムズがカスタマーカーの使用に関してFIAへ異議申し立てを行い、プロドライブへの法的措置も辞さないとの姿勢を示す。11月28日に、チーム代表であるデビッド・リチャーズは、FIAの技術規約の問題はないがFOAが新たに発効する新コンコルド協定が2007年末となっても詳細が決められていないことから、2008年の参戦は見送り2009年からの参戦を目指す方針を明らかにした。[3]

2008年に入ると、リチャーズはプロドライブが運営するスバルワールドラリーチーム (SWRT) の代表に復帰し、雑誌のインタビューでもF1参戦について「実現させることはかなわなかった」「今はこの(=ラリーの)仕事に集中すればいい、というシンプルな状態だ」と語る[4]など、F1参戦に関する発言をトーンダウンさせた。2009年1月12日にFIAが発表した同年のF1エントリーリスト[5]にプロドライブF1の名前が記載されなかったことから、公式発表こそないものの事実上2009年の参戦を断念したことが明らかとなった。

2009年のエントリー落選

FIAが2010年からF1参戦チームを最大13チームにまで拡げ、選択的予算制限規定[6]を導入すると発表したことで、リチャーズは再び参戦の意思をほのめかした[7]

予算制限案を巡ってFIAとチーム協会 (FOTA) が対立する状況を見てエントリーを決めかねていたが[8]、申請期限の2009年5月29日寸前になって正式にエントリーを表明した[9]。ダー・キャピタルから資金を受け「プロドライブ」としてエントリーしたが、いずれはアストンマーティンを名乗るのではないかと言われた[9]

15チームがエントリーする中でプロドライブは当確候補と目されていたが、6月12日にFIAが発表した2010年F1エントリーリストから落選した[10]。US F1のようなまだ活動実体のないチームに敗れるという意外な結果に終わったが、のちにリチャーズは「FIAから、コスワースエンジンを使用しなければエントリーを認めないと言われた」と告白した[11](選出された3チームはいずれもコスワースを搭載する)。

2010年には2011年シーズンの新エントリー募集が行われたが、リチャーズは「競争力とビジネスの両面で適切なタイミングではない」として申請を見送った[12]。この時点ではマクラーレンのカスタマーシャシーの使用が認められなくなり、自力でマシンを開発する必要があった。2011年には「F1参戦を検討するならば、次のポイントは2013年だろう」と語った[13]が、結局参戦の動きは見られないまま現在に至っている。

脚注

  1. ^ "2008 FIA FORMULA ONE WORLD CHAMPIONSHIP ENTRY LIST" (Press release). FIA. 28 April 2006.
  2. ^ “Rumours about McLaren”. Grandprix.com. (2007年2月20日). http://www.grandprix.com/ns/ns18051.html 
  3. ^ “Q & A with David Richards”. autosport.com. (2007年11月29日). http://www.autosport.com/news/report.php/id/64152 
  4. ^ オートスポーツ』、三栄書房、2008年4月10日、72頁。 
  5. ^ 2009 FIA Formula One World Championship - Entry List Archived 2010年1月6日, at the Wayback Machine.
  6. ^ 現行技術規則制限だが予算は各々が決められる制度と技術的自由度が与えられる代わりに年間4000万ユーロでドライバー年俸以外を賄わなければならない制度からどちらかを選択する。
  7. ^ “プロドライブ、2010年F1参戦を検討。アストンマーティンブランドで参戦か”. オートスポーツ. (2009年4月24日). http://www.as-web.jp/news/info.php?c_id=1&no=19922 
  8. ^ “デビッド・リチャーズ、2010年F1参戦を決めかねる”. F1-Gate.com. (2009年5月19日). http://f1-gate.com/other/f1_3620.html 
  9. ^ a b “プロドライブが2010年F1へエントリーを提出”. オートスポーツ. (2009年5月29日). http://www.as-web.jp/news/info.php?c_id=1&no=20392 
  10. ^ “リスト落ちのプロドライブ、状況の変化を期待”. オートスポーツ. (2009年6月12日). https://www.as-web.jp/past/%e3%83%aa%e3%82%b9%e3%83%88%e8%90%bd%e3%81%a1%e3%81%ae%e3%83%97%e3%83%ad%e3%83%89%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%96%e3%80%81%e7%8a%b6%e6%b3%81%e3%81%ae%e5%a4%89%e5%8c%96%e3%82%92%e6%9c%9f%e5%be%85 
  11. ^ “リチャーズ、コスワースのウワサを認める。BMWザウバー買収には興味なし”. オートスポーツ. (2009年8月3日). https://www.as-web.jp/past/%e3%83%aa%e3%83%81%e3%83%a3%e3%83%bc%e3%82%ba%e3%80%81%e3%82%b3%e3%82%b9%e3%83%af%e3%83%bc%e3%82%b9%e3%81%ae%e3%82%a6%e3%83%af%e3%82%b5%e3%82%92%e8%aa%8d%e3%82%81%e3%82%8b%e3%80%82bmw%e3%82%b6 
  12. ^ “プロドライブはF1参戦せず。競争力と財政面に懸念”. オートスポーツ. (2010年4月15日). https://www.as-web.jp/past/%e3%83%97%e3%83%ad%e3%83%89%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%96%e3%81%aff1%e5%8f%82%e6%88%a6%e3%81%9b%e3%81%9a%e3%80%82%e7%ab%b6%e4%ba%89%e5%8a%9b%e3%81%a8%e8%b2%a1%e6%94%bf%e9%9d%a2%e3%81%ab%e6%87%b8%e5%bf%b5 
  13. ^ “プロドライブ「F1参戦を検討するのは2013年までない」”. オートスポーツ. (2011年1月14日). https://www.as-web.jp/past/%e3%83%97%e3%83%ad%e3%83%89%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%96%e3%80%8cf1%e5%8f%82%e6%88%a6%e3%82%92%e6%a4%9c%e8%a8%8e%e3%81%99%e3%82%8b%e3%81%ae%e3%81%af2013%e5%b9%b4%e3%81%be%e3%81%a7%e3%81%aa%e3%81%84 

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