PPIスコープ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 09:12 UTC 版)
PPIスコープ(Plan Position Indicator scope、Pスコープとも)は、現代のレーダー指示器として最も代表的な方式である。レーダーの位置を基点として、アンテナビームの回転に同期させて放射状に掃引を行なって、受信した信号を表示するものである。すなわち、レーダーの位置を中心として、レーダーで捉えられた目標が鳥瞰的に表示されることから、直感的に理解しやすいという大きなメリットがある。 しかし、このような表示方式の場合、レーダー波の波長が長いと近接した複数の対象物が同一の光点として表示されてしまうため、多数の目標を捕捉する際の分解能を高めるためには、レーダー波長の短波化が必須となったが、波長の短波化と送信出力の強化の両立には高度な電子技術が要求されるため、枢軸国では専ら送信出力を強化しやすい長波レーダーの開発に終始し、PPIスコープの採用までには漕ぎ着けなかった。 連合軍で運用されたPPIスコープを用いる初期のレーダーシステムでは、アンテナの回転角度に日本軍と同様の理由で一定の制約が存在したが、やがてマイクロ波レーダーと高利得のパラボラアンテナなどが主体のシステムに発展すると、アンテナは360度自動的に回転し続けるようになった。PPIスコープ上で目標物として表示される光点は、Aスコープでいうところの波形のピークに当たる部分である。日本軍の場合、各電測兵がAスコープの波形情報を、経験と技術によって二次元図として変換し認識していたのが、PPIスコープでは完全に自動化されるようになったので、連合国のレーダー担当員の負担は大幅に軽減され、測的の精度も飛躍的に高まることとなった。
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