PCRプライマー設計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/02 03:07 UTC 版)
「プライマー (生物)」の記事における「PCRプライマー設計」の解説
プライマー対は、それぞれに対してアニーリングが同時に行なわれるため、似た融点を持つ必要がある。融点 Tm が反応のアニーリング温度よりも大幅に高いプライマーは誤分子交雑を起こし誤った場所で伸長するおそれがあり、Tm がアニーリング温度よりも低い場合はアニールに失敗し伸長が全く起こらないおそれがある。 プライマー配列はDNA領域を一意に選択できるよう、近傍の類似配列との誤分子交雑の可能性を避けられるように決める必要がある。普及している手法はBLASTサーチと呼ばれ、プライマーが結合する可能性を持つ領域を表示することができる。ヌクレオチド配列とプライマー配列の両方をBLASTは検索することができる。NCBIによるフリーなツール、Primer-BLAST はプライマー設計とBLASTサーチを一つのアプリケーションに統合しており、同様の商用ソフトウェア製品として ePrime や Beacon Designer(英語版) が挙げられる。プライマー設計を支援するために、PCRの理論的結果をコンピュータシミュレーション(電子PCR(英語版))が行われることもある。 特定のPCR応用用途のプライマー設計向けには多数のフリーなオンラインツールが利用可能である。有名なツールとして、幅広い特徴にマッチするプライマーを見つけることのできる Primer3Plus や PrimerQuest が挙げられる。GeneFISHER を使えば、多様な鋳型DNAを標的とすることのできる高縮退度プライマーをインタラクティブに設計することができる。DECIPHER(英語版) を使えば、多数の類似DNAの存在下でいくつかの特定の鋳型DNAに対して選択性の高いプライマーを設計することができる。 モノヌクレオチドおよびジヌクレオチド反復はループ形成を起こし、誤分子交雑に寄与しうるため避けるべきである。プライマーは混合された別のプライマー(同配列の別分子鎖と逆配列のものと両方)と容易にアニールするべきではない。この現象はプライマーダイマーと呼ばれる夾雑物を生じさせるおそれがある。加えて、内部ヘアピン構造やループの形成は鋳型DNAとのアニーリングを妨げるおそれがあるため、自分自身とのアニールが強くてもいけない。 TAクローニング(英語版)用のプライマー設計時には、5′末端と3′末端にAGテールを追加することで効率を向上させることができる。 逆プライマーはcDNA配列の逆相補配列を持つ必要がある。逆相補配列はオンライン計算サービスなどで容易に決定できる。
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