PCRによる増幅
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/25 10:01 UTC 版)
「マイクロサテライト」の記事における「PCRによる増幅」の解説
近傍に設計されたプライマーを使ったPCRで増幅することでマイクロサテライトを同定することができる。これにより、わずかなDNAからでも特定のマイクロサテライトを増幅し、電気泳動によって可視化することができる。マイクロサテライト座位はゲノム中に広く散在しており、また必要なのはPCRで増幅する部位だけなので、劣化しかけのDNAからでも増幅することができる。PCR技術は広く普及しており、マイクロサテライトを増幅するプライマーを使うのは簡単であるが、しかし正しく機能するプライマーを開発するのは退屈で費用を要する工程となる場合が多い。 ゲノム中の特定の領域(例えばある遺伝子の特定のエキソンなど)にあるマイクロサテライトを検出する場合には、プライマーを直接設計することができる。まずゲノムDNA配列から目やrepeat maskerのようなソフトウェアを使ってマイクロサテライトを探す。ランダムな挿入が入っているような不適切なものは除外し、マイクロサテライトの候補が決まれば、それを挟むようにしてPCR反応に用いるプライマーを設計することができる。 不特定のマイクロサテライトを利用しようとする場合には、対象生物のDNAからランダムな断片をクローニングしてプライマーを開発する。まずDNA断片をプラスミドやファージベクターに挿入して大腸菌に導入する。生じたコロニーを蛍光色素などで標識した繰り返し配列とハイブリダイズさせてスクリーニングする。陽性となったクローンからDNAを得てシークエンシングし、マイクロサテライト領域を挟むようなプライマーを設計する。この場合スクリーニングに用いる繰り返し配列を予測しなければいけないし、ランダムに得られたプライマーは有意義なほどの多型を示さないこともあるので、研究者による試行錯誤が必要となる。 PCR反応の初期に複製ずれが起きると、間違った長さのマイクロサテライトが増幅される場合がある。
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