F111の失敗
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/27 06:40 UTC 版)
「ロバート・マクナマラ」の記事における「F111の失敗」の解説
さらにマクナマラは、空軍のTFX(Tactical Fighter Experimental) 計画と海軍のFADF(Fleet Air Defence Fighter) 計画を強引にひとつの計画に統合してしまった。TFX計画は空軍の次期主力戦闘爆撃機、FADF計画は海軍の艦隊防空戦闘機の開発計画であり、空軍海軍両者とも要求仕様が全く異なるとして反対したのであるが、マクナマラは強引に計画を進めた。その結果完成したF-111は航空母艦での使用が不可能な大型機となってしまい、結局空軍機としてしか採用できず、無惨な失敗となって終わった。その後改めて開発されたF-14戦闘機は、専用の機体として開発された事でF-111よりも小型軽量化されている。前線を知らず、机上だけでの効率化を推し進めたマクナマラの失敗の一例である。 F-111は戦闘爆撃機を名乗りながらも、戦闘機としては使用不可能な大型機となってしまい、純然たる爆撃機としてしか使用できなかった。そのため海軍機としてのみならず、空軍機としても当初の開発目的を達成できなかった。従ってこの機体の開発失敗は、元来の空軍の戦闘爆撃機としての要求仕様にも問題があり、マクナマラだけに失敗の責任を求める事はできない。またF-111は実際には空母への離着艦に成功しており、実際には海軍の小型軽量化の要求が過剰であったと言える。軍人任せにするとコスト意識が希薄になったり、アフォーダビリテイ観念の欠落により必要数が揃わなくなりがちな軍事組織において、既に膨張し始めていた戦闘機の開発費用と調達コストを空軍・海軍共同開発によって削減・抑制しようとしたコンセプトは決して間違っていたとは言えない。 元々海軍の艦上機として設計開発されたF-4 ファントムⅡを、空軍にもF-105 サンダーチーフの代替機として採用させた事は、逆に結果として大成功となっている。そして現在に至るも、F-35 ライトニング IIの共同開発などに受け継がれている。
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