EU諸国の精神保健
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 02:21 UTC 版)
「メンタルヘルス」の記事における「EU諸国の精神保健」の解説
OECDによれば、EU諸国の市民のうち6人に1人が精神保健問題を抱えており、およそ8400万人と推定されている(2016年)。疾患別では、不安障害(市民の5.4%)、うつ病(4.5%)、薬物・アルコール問題(2.4%)、双極性障害(1.0%)、統合失調症(0.3%)と推定される。推定有病率の上位国はフィンランド、オランダ、アイルランドであり(18.5%以上)、下位国はルーマニア、ブルガリア、ポーランドであった(15%以下)。この差は、精神疾患に対する問題意識が高く、スティグマが少なく、保健サービスへのアクセスが容易であることが挙げられる。 精神障害を抱えたままでは、学業や職業において成功する可能性は乏しく、失業となる可能性が高く、また身体的な健康問題も引き起こされるとOECDは指摘する。そのコストはGDPの6%(2400億ユーロ)以上と推定されており、医療費に1700億ユーロ(GDPの1.2%)、社会保障支出に1,700億ユーロ(1.2%)、労働市場における間接コストに2400億ユーロ(1.6%)とされる。EUでは精神衛生上の問題および自殺により、8.4万人以上が死亡した(2015年)。 EU諸国は自殺防止の取り組みを進めており、その結果、EU28か国の半数では自殺率が20%以上減少した。産業精神保健の取り組みもなされ、オーストリア、ベルギー、フィンランド、フランス、ノルウェー、オランダでは、労働法において心理的労働安全衛生リスク対策を行っている。
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