B細胞の成熟
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 09:59 UTC 版)
Bリンパ球の幹細胞は骨髄に存在する。ここでVDJ領域の再構成を行いIgMを発現し成熟B細胞となる。骨髄内の抗原と反応してしまうB細胞はこの時点でアポトーシスされる。成熟B細胞は骨髄を離れてリンパ組織へ行く。リンパ組織では各種相互作用に応じて分化する。T細胞非依存抗原と相互作用できた場合はIgM産出細胞(形質細胞、一部B細胞)となり、T細胞依存性抗原としか相互作用ができないと胚中心に移行し、クラススイッチを起こし、IgG産出細胞となる。これで形質細胞または記憶B細胞になる。クラススイッチを起こした形質細胞は短命のものと長命のものに分かれる。短命のものはリンパ組織内に留まり、長命のものは前駆形質細胞となり骨髄循環に適応し、抗体を産出しつづける。これらのどの段階で発癌したかによって腫瘍の性質が異なるのではないかというのが近年の考え方である。幸いなことにこれらの分化成熟過程における抗原の変化はよく知られている。多発性骨髄腫で形質細胞が骨髄に留まるのが不思議だが、長命の形質細胞は骨髄循環に適応しているので、骨髄で増殖してもおかしくない。M蛋白血症を起こすもののうち、IgM産生場合だけ特に問題ないのもIgM分泌は分化過程が違うということで多少は説明できる。しかしなぜ予後まで違うのかは、今のところ説明できない。
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