随伴関手
数学の特に圏論における随伴(ずいはん、英: adjunction)とは、二つの関手の間の(ある種の双対的な)関係のことである(随伴関係にある関手を持つ関手もあれば、持たない関手もある)。直感的に言えば、二つの相互に関連する圏の間に認められる、弱い同値的な関係のことである。この関係を表す関手のペアを随伴関手と呼び、片方を左随伴、もう片方を右随伴と呼ぶ。随伴の概念・随伴関手のペアは数学に遍在し、最適化や効率に関する直観的概念を明らかにし、また、ある種の数学的問題の"解決法の最適化"を行う過程で見出される(代数における集合上の自由群の構成や、位相空間におけるStone–Čech compactification(英語版)の構成などがその例である。
圏 この図式の縦方向の射はfやgを合成することで誘導される射である。
随伴の全容
以上のことから、随伴にはたくさんの関手や自然変換を持っているが、その一部を決めるだけで他のものは決定される。
圏CとDの間の随伴は以下のものから構成される。
- 左随伴と呼ばれる関手F : C ← D
- 右随伴と呼ばれる関手G : C → D
- 自然同型Φ : homC(F–,–) → homD(–,G–)
- 余単位と呼ばれる自然変換 ε : FG → 1C
- 単位と呼ばれる自然変換 η : 1D → GF
等価な定式化として、XをCの任意の対象としYをDの任意の対象としたとき、
全てのCの射 このことを使うと、以下に挙げる復元が可能である
- ^ arXiv.org: John C. Baez Higher-Dimensional Algebra II: 2-Hilbert Spaces.
- ^ William Lawvere, Adjointness in foundations, Dialectica, 1969, available here。今は異なる記法が使われる。Peter Smith in these lecture notes よるより簡単な紹介は、先の記事の考えにも基づいている
- ^ Saunders Mac Lane, Ieke Moerdijk, (1992) Sheaves in Geometry and Logic Springer-Verlag. ISBN 0-387-97710-4 See page 58
参考文献
- Adámek, Jiří; Herrlich, Horst; Strecker, George E. (1990) (PDF). Abstract and Concrete Categories. The joy of cats. John Wiley & Sons. ISBN 0-471-60922-6. Zbl 0695.18001
- Mac Lane, Saunders (1998). Categories for the Working Mathematician. Graduate Texts in Mathematics. 5 (2nd ed.). Springer-Verlag. ISBN 0-387-98403-8. MR1712872. Zbl 0906.18001
外部リンク
- Hazewinkel, Michiel, ed. (2001), "Adjoint functor", Encyclopaedia of Mathematics, Springer, ISBN 978-1-55608-010-4。
- Adjunctions Seven short lectures on adjunctions.
- Adjoint functorsのページへのリンク