AQUAシステム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/03/05 02:14 UTC 版)
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AQUAシステム(アクアシステム、Accurate and QUick Analysis System for Source Parameters.)は、防災科学技術研究所が開発して2005年度より運用する高精度即時震源パラメータ解析システム。震源の位置、マグニチュード、発震機構(メカニズム解)を即時的に推定して公開する、地震警報システムである。
なお、速報性を重視しているため、気象庁の緊急地震速報とはマグニチュードの推定値が異なることも多く、推定結果には大きな誤差を含んでいる場合がある。また、誤差が大きいなど信頼性が劣ると判断される場合には、情報の公開は行われない。
概要
すべては自動処理で行われ、全国に設置されている高感度地震観測網 (Hi-net)、気象庁、大学などからのリアルタイムの観測データを基に、AQUAシステムのために新たに開発した着未着法と呼ばれる「最低2点でのP波到達時刻と他の観測点では未だ到着していない」データを用いる手法により、即時的な震源決定を実現した。その後、2007年に情報発信の即時性を高める改良が行われて以降は改良前のシステムと区別するため、「新AQUA」システムと呼ぶこともある。
気象庁が2007年10月1日より、本格運用を開始した緊急地震速報の構築に貢献した。気象庁の緊急地震速報は、震源の位置と規模(マグニチュード)最大震度を推定しているのに対し、AQUAシステムでは発震機構(メカニズム)も同時に解析(CMT解)する。
AQUAの種類
情報種別 | 所要時間 | 解説 |
---|---|---|
AQUA-REAL | 地震を検知 - 数秒 | 着未着法に基づいて震源情報を推定 |
AQUA-RAPID | 5 - 30秒 | 波面推定法による震央位置の推定 |
AQUA-HYPO | 10 - 30秒 | 波面推定法、最小二乗法による震源位置、モーメント・マグニチュードの推定 |
AQUA-MT | 2 - 5分 | モーメント・テンソル解析によるメカニズム推定 |
AQUA-CMT | 4 - 8分 | セントロイド・モーメント・テンソル解析によるメカニズム推定 |
仕組み
高感度地震計では人間の経済活動や気象現象に伴う微小な震動も常に検知しているため、P波による初期微動と判断する震動を5000nm/s以上としたうえで震動を記録した観測点のデータを利用し、震源位置(緯度 / 経度 / 深さ / 時刻)、地震規模(Mw : モーメント・マグニチュード)の推定を並行して行う。
震源決定
2001年に開発された超即時震源決定システムのデータを利用し、2点以上の Hi-net観測点で、RMS振幅が 5000nm/s以上の震動を検出した箇所の時刻データ(トリガー時刻)のみを利用し、計算を開始する。15観測点(トリガー時刻から3秒から4秒が経過した後)以上になると、最小二乗法による震源決定計算を開始し、すべての処理はトリガー時刻から17秒程度で完了する。
なお、AQUAシステムにおける震源とは、最大のエネルギーを放出した地点を指し、気象庁における破壊開始点とは異なる。
規模推定
トリガー時刻から2秒間の1秒RMS振幅値を利用し、次式によりモーメント・マグニチュードを (Mw) 算出する。
- 計算式は、
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