A環の合成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 01:25 UTC 版)
「ダニシェフスキーのタキソール全合成」の記事における「A環の合成」の解説
A環前駆体の骨格はシクロヘキサン環で、二つの官能基、つまりビニルリチウム部位と保護済みのエノラート基を持つ。この二つでC環との連結を行い、8員環B環を形成する。この手法はニコラウ法と同様である。 出発物質は2-メチル-3-ペンタノン(エチルイソプロピルケトン) 22 で、これにモルホリンを脱水縮合してエナミン 23 とする。アクリル酸クロリド(塩化アクリロイル)との求核共役付加、求核アシル置換を連続して起こすことにより、シクロヘキサノン 24 を得る。次にモルホリンを加水分解して除去する。ジオン 25 をエタノール中、トリエチルアミン存在下にヒドラジンと反応させてヒドラゾン 26 とし、ヨウ素とジアザビシクロノネン (DBN) でヨウ素化する (27)。この反応で目的とするのは 27 であるが、予期せぬ脱水素化が起こり、実際にはジエン 28 が単離された。ケトンはシアノヒドリン 29 へと変換されるが、これにはトリメチルシリルシアニド、シアン化カリウム、クラウンエーテルが用いられた。最後に、テトラヒドロフラン中、−78°Cで tert-ブチルリチウムによってリチオ化し、ビニルリチウム 30 を得る。
※この「A環の合成」の解説は、「ダニシェフスキーのタキソール全合成」の解説の一部です。
「A環の合成」を含む「ダニシェフスキーのタキソール全合成」の記事については、「ダニシェフスキーのタキソール全合成」の概要を参照ください。
- A環の合成のページへのリンク