1条大地帰路
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/11 08:37 UTC 版)
1条方式の場合、整流器出力の一極は大地に、高電位側の端子が配電線に接続されている。この接地側の端子より交流化変電所の大地電位の端子に帰路導体を直接接続する事も可能であるが、導線を使用せずに帰路の電流を接地電極間の大地を流す事も可能であり、この場合は特に1条大地帰路 (en:Single-wire earth return:SWER) と呼ばれる。 大地帰路電流にまつわる問題点には次のものがある。 パイプライン等の埋設金属体に対する電気的腐食(電食)。 海水が介在する地下水大地帰路は塩素やその他の水の化学的作用を発生させうる。 不平衡な電流経路は結果的に磁場を発生させ、海底ケーブル上を通過する船舶の磁気コンパスに影響を与えうる。 これらの影響は、1条送電線の2つの局の間に金属帰路導体を導入することで排除することができる。変換器の端子が大地に接地されているため、帰路導体は最大送電電圧を絶縁する必要がなく、高電圧側の経路に比べて安価に出来る。金属帰路導体の使用は経済的、技術的、環境的要素により決定される。 完全に架空送電されている近代的な1条システムには、1,500 MWを送電している例があるが、地下もしくは海底ケーブルならば、標準的な送電能力は600 MWである。 通常の1条システムは将来的に2条に拡張できるよう設計されており、1条送電システムとして当初から使用されているとしても、送電鉄塔は2つの導体を架けることができるよう設計出来る。2番目の導体は不使用か、接地線として使用されているか、(バルト海ケーブルの事例のように)他のものと並行して接続されている
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