1日の長さ LOD (Length of Day)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/12 09:52 UTC 版)
「閏秒」の記事における「1日の長さ LOD (Length of Day)」の解説
地球の自転に基づく世界時は、太陽が朝に出て夕方に沈むといった、日常生活に関係する時間観念からは便利である。しかし、地球の自転の角速度、すなわち「1日の長さ (LOD : Length of Day)」は一定ではない。なお「LOD」は、1日の長さそのもの(例えば、86 400.002秒)をいう場合もあるが、1日の長さから86 400秒を差し引いたもの(例えば、0.002秒または2ミリ秒)をいうことが多いので注意が必要である。 24時間×60分×60秒 = 86 400秒であるから、歴史的には1秒の長さは1日の長さの86 400分の1と定義されてきた。問題は、この1日の長さとして、いつの時点における1日の長さを採用するかである。1956年に秒の長さを1900年1月1日時点の地球の公転速度によって定義した(これを暦表秒という)とき、その秒の長さは、1750年から1892年までの間(約140年間)のLODの天文観測結果によっていた(これはほぼ1820年時点でのLODの1/86 400を1秒と定めたことになる)。 1955年頃に、アメリカ海軍天文台 (USNO) のウィリアム・マーコウィッツとイギリス国立物理学研究所 (NPL) のルイ・エッセンは、セシウム原子の超微細遷移周波数と暦表秒との関係を研究し、1秒が9192631770周期だという数値を得たが、彼らが基準とした秒の長さは、上記の暦表秒であった。そして、1967年に国際原子時 (TAI) における秒の長さを決めたとき、その長さは、マーコウィッツとエッセンが求めた9192631770周期の通りに定義された。 LODは長期的な傾向として100年間(正確にはユリウス世紀 = 36 525日)につき約1.4ミリ秒/日だけ長くなる。1967年は、暦表秒の基準であった1820年から約150年が経過しており、この時点ですでに、LODは86 400.002秒(つまり2ミリ秒だけ長い)程度になっていた。したがって、国際原子時による秒の定義が1967年にスタートしたときには、1日の長さ (LOD) と86 400秒(国際原子時によるもの)との間には、すでに数ミリ秒の差が存在していた。 秒の定義の基であるセシウム原子の振動数(精度は10-11)は、地球の自転(1日の長さ)(精度は10-8)とは全く無関係であり、かつ精度が1000倍も違うので、国際原子時と世界時との差が1950年代からすでに生じていたことと、その差(マイクロ秒 - ミリ秒単位)がそれ以降は不安定になることは、当初から想定されていた。
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