054B型フリゲート
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/29 15:58 UTC 版)
054B型フリゲート(江凱III型) | |
---|---|
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基本情報 | |
艦種 | フリゲート |
建造所 |
滬東中華造船 広州中船黄埔造船 |
運用者 |
![]() |
建造期間 | 2022年 - 現在 |
就役期間 | 2025年 - 現在 |
計画数 | 20隻 |
建造数 | 2隻 |
前級 | 054A型(江凱II型) |
次級 | (最新) |
要目 | |
満載排水量 | 6,000トン |
全長 | 150.0 m |
最大幅 | 18.0 m |
吃水 | 5.0 m |
機関方式 | CODAD方式 |
主機 | ディーゼルエンジン×4基 |
推進器 | スクリュープロペラ×2軸 |
兵装 | |
搭載機 | Z-20F哨戒ヘリコプター×1機 |
054B型フリゲート(054Bがたフリゲート、英語: Type 054B frigate、中: 054B型导弹护卫舰)は、中国人民解放軍海軍のフリゲートの艦級。NATOコードネームは江凱III型フリゲート[注 1]。
概念実証モデルにあたる054型(江凱I型)と、その成果を反映した量産型である054A型(江凱II型)に続く改良型であり、約20隻が発注されたという報道がある[2]。
来歴
054A型の大量建造がピークに差し掛かっていた2012年、既に中国では次世代フリゲートの建造計画が進められており、中国船舶重工集団(CSIC)は054A型に似た在来型の案を提出したのに対し、中国船舶工業集団(CSSC)は革新的な三胴船の案を提出した[3]。2012年春には海軍の提案審査が終わり、CSICの在来型の案が採択された[3]。しかし同時期に計画が着手された055型駆逐艦は2015年には起工されたのに対し、この次世代フリゲートの建造はなかなか実現せず、まずは054A型の船体延長型(いわゆる054AL型)が建造されていた[3]。これは055型の技術的成果を判断したものとみられている[4]。
その後、2020年前後から建造が開始されたのが054B型である[4]。
設計
054B型は054型の系譜ではあるが、054A型と比べても、満載排水量にして5割増と格段に大型であり、同型・同系列の域にとどまらないスケールアップとなっている[5]。055型の技術的成果を反映させて、ステルス性に配慮した統合マストを採用するとともに、閉鎖式の錨甲板も導入されている[6]。この結果、艦首からナックルラインが続くなど、054A型と異なる船体デザインとなった[4]。なお後檣の一体化マストについては、フランスのナバル・グループが手掛けたアミラル・ロナルク級駆逐艦やゴーウィンド型コルベットを参考にしたとの説がある[4]。
機関についてはガスタービンエンジンと電気推進の組み合わせ機関を搭載しているという説もあるが[7]、2024年7月の報道では否定されている[8]。
装備
054B型では、前檣上に新型のフェイズドアレイレーダーを搭載している[4]。これはイギリスのSAMPSONと同様、2面のフェイズドアレイ・アンテナを背中合わせに配置し、回転させて全周を走査する方式といわれているが、SAMPSONではアンテナをレドームに収容しているのに対し、こちらは平面アンテナが露出している[5]。2020年頃から075型強襲揚陸艦や909A型試験艦「華羅庚」に搭載されていたものとの類似が指摘されている[4]。
VLSは054A型と同じく32セルである[4]。艦対艦ミサイルは、054A型と同じYJ-83のほか、YJ-12の可能性も指摘されている[4]。
一方、艦砲については、054型で搭載された100mm単装砲の信頼性が低く、054A型では76mm単装速射砲に変更されたという経緯があったが、054B型では、命中精度や信頼性などを向上させた改良型の100mm単装砲が搭載された[4]。
航空艤装は、054AL型と同様にZ-20F哨戒ヘリコプターを搭載できるサイズの格納庫を設置するのに加えて、垂直発艦型無人航空機(VTUAV)も運用できるようにヘリコプター甲板を拡張している[4]。
比較表
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(07式[9][10])
(HQ-16 / CY-3)
(HQ-16FE)
(アスター15/30)
(9M96E2-1/E、9M110)
(シーセプター)
(P-800、カリブルNK)
(SLCM・SSM)
(4隻艤装中)
(6隻艤装中)
(2隻艤装中)
(1隻艤装中、5隻建造中)
(4隻建造中)
同型艦一覧
# | 艦名 | 造船所 | 進水 | 就役 | 配備先 |
---|---|---|---|---|---|
545[11] | 漯河[11] | 滬東中華造船[11] | 2023年 8月26日 |
2025年 1月22日[11][12] |
北海艦隊[11] |
555 | 欽州 | 中船黄埔文沖船舶 | 2023年 10月29日 |
南海艦隊 |
登場作品
脚注
注釈
出典
- ^ 12/23[公表]中国海軍艦艇の動向について 防衛省統合幕僚監部(2015年12月23日)2022年5月14日閲覧
- ^ “中国海軍の次世代フリゲートが海上試験を開始(高橋浩祐) - エキスパート”. Yahoo!ニュース. 2025年1月6日閲覧。
- ^ a b c 陸 2021.
- ^ a b c d e f g h i j 海人社 2024, pp. 34–36.
- ^ a b 井上 2024.
- ^ 海人社 2024b, p. 36.
- ^ 国平视野 2023.
- ^ 国平视野 2024.
- ^ “見えてきた「もがみ型護衛艦の“次”」=売る気満々!? 海自新型FFMの“ファミリー構想”とは?”. 乗りものニュース (2023年11月22日). 2023年12月4日閲覧。
- ^ 高橋浩祐「もがみ型護衛艦のVLS、7番艦「によど」から就役時に設置」『Yahoo!ニュース』2025年3月30日。
- ^ a b c d e “中国054B型フリゲイトの1番艦が就役”. 世界の艦船 (2025年2月22日). 2025年3月9日閲覧。
- ^ Storm.mg (2025年1月22日). “解放軍新利器入列:首艘054B型「漯河」艦正式服役,5000噸升級排水量讓火力更上層樓-風傳媒” (中国語). www.storm.mg. 2025年1月22日閲覧。
参考文献
- 井上孝司「中国海軍の新鋭艦 (中国海軍発達史)」『世界の艦船』第1012号、海人社、146-153頁、2024年2月。CRID 1520580561494103040。
- 海人社 編「中国海軍発達史」『世界の艦船』第1012号、海人社、2024年2月。CRID 1520580561494103040。
- 海人社 編「写真特集 日中主要艦艇ラインナップ」『世界の艦船』第1017号、海人社、21-47頁、2024年5月 (2024b)。CRID 1520863102294000768。
- 国平视野「054B型护卫舰:采用双面盾柴燃动力、全电推进系统,战力有大提升」『腾讯新闻』、テンセント、2023年6月4日 。
- 国平视野「054B型护卫舰:反舰导弹仍是鹰击-83,直-20F上舰反潜性能获提升」『腾讯新闻』、テンセント、2024年7月2日 。
- 陸易「054A改型(30FFMとそのライバルたち)」『世界の艦船』第941号、海人社、100-103頁、2021年2月。
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