レント‐シーキング【rent seeking】
レントシーキング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/03/29 08:22 UTC 版)
レントシーキング(英: rent seeking)とは、民間企業などが政府や官僚組織へ働きかけを行い、法制度や政治政策の変更を行うことで、自らに都合よく規制を設定したり、または都合よく規制の緩和をさせるなどして、超過利潤(レント)を得るための活動を指す[1][2]。また、これらの活動を行う人をレントシーカーやロビイストなどと呼ぶ。
これによる支出は生産とは結びつかないため、社会的には資源の浪費とみなされる。
近年の経済学的な研究によれば、レントシーキングは経済成長に悪影響を与える。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授のフィリップ・アギオンらの研究によれば、アメリカにおける近年の生産性の低下は、GAFAと呼ばれるような巨大IT企業があまりに大きな力を持つようになったために、ロビー活動とレントシーキング等を通じて、他企業の市場参入を阻害してきたことが原因である。この考察から、アギオンらは政策面での規制と競争政策の促進が必要であるとした[3]。
レントシーカーの例
- 国際興業 ― 小佐野賢治
- ジャパンライン(現:商船三井) ― 児玉誉士夫
- 佐川急便 ― 佐川清・渡辺広康
- 伊藤忠商事 ― 瀬島龍三
- 山田洋行 ― 宮崎元伸
- ジャパンライフ ― 山口隆祥
- 読売新聞社 ― 渡邉恒雄
- リクルート ― 江副浩正
- オリックス ― 宮内義彦[4]
- パソナ ― 南部靖之(創業者・社長)・竹中平蔵(会長)[5]
- 政策工房 ― 高橋洋一・原英史
- 四国新聞社 、西日本放送 ― 平井龍司
- ハンナン ― 浅田満
- ユニバーサルエンターテインメント ― 岡田和生
- 水谷建設 ― 水谷功
- トライベイキャピタル ― 三浦瑠麗・三浦清志
- 小西美術工藝社 ― デービッド・アトキンソン
- 日本端子 ― 河野洋平・河野太郎・河野二郎
- フジマキ・ジャパン ― 藤巻健史
- AOKIホールディングス ― 青木拡憲
脚注
- ^ ジョセフ・スティグリッツ『世界の99%を貧困にする経済』
- ^ 「レントシーキング」『デジタル大辞泉』 。コトバンクより2022年5月16日閲覧。
- ^ フィリップ・アギオン「イノベーションと格差」『格差と戦え』慶應義塾大学出版会 pp.184-191
- ^ 報酬54億円 “政商”オリックス宮内元会長がやってきたこと
- ^ “牧太郎の青い空白い雲:/822 「五輪廃止!」と言ったら“政商主義者・竹中平蔵”に叱られる?”. サンデー毎日. 毎日新聞出版. 2025年3月29日閲覧。
関連項目
レントシーキング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 15:28 UTC 版)
「聖域なき構造改革」の記事における「レントシーキング」の解説
田中秀臣は「構造改革は慎重に進めないと、新たな権益を発生させる可能性がある。例えば、特定の集団・個人に企業を払い下げてしまえば、本来の構造改革と逆行することになる」と指摘している。 経済学者の大竹文雄は「小泉政権では、経済財政諮問会議の民間委員は、市場主義を代表する経済学者2名と大企業主義を代表する財界2名で構成されていた。小泉政権の政策は、市場主義的な政策と財界の利益誘導・利権獲得の両方が混合したものと解釈できる。結果、市場主義が既存大企業主義と同一視されてしまった。構造改革に関わった大企業関係者が『官から民』への移行に伴って利益を享受していたとすれば、それは市場主義と無関係どころか相反するものである」と指摘している。
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