ダクタイル鋳鉄とは? わかりやすく解説

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ダクタイル‐ちゅうてつ〔‐チウテツ〕【ダクタイル鋳鉄】

読み方:だくたいるちゅうてつ

ダクタイルductile)は「延性がある」の意》組織中に球状黒鉛を含む鋳鉄。片状の黒鉛を含む通常の鋳鉄よりも粘り強く強度優れる。水道管などの鋳鉄管機械部品などに広く使用される球状黒鉛鋳鉄FCD(Ferrum Casting Ductile)。


ダクタイル鋳鉄

英語 ductile cast-iron

黒鉛球状品出している鋳鉄ねずみ鋳鉄より通常炭素ケイ素がやや多くマグネシウムセリウム添加することにより黒鉛球状化する。ねずみ鋳鉄比べ引張り強度伸びとも高くねずみ鋳鉄鋳鋼中間位置するJIS G5502-1995ではFCD350~FCD800の10種類分類されるそのほか物性電気伝導度熱伝導度なども、ねずみ鋳鉄鋳鋼中間にある。破面白色ビロード状で、打撃音澄んでいるので、破面打撃音黒鉛球状化しているかどうか大体わかる。引け性が強く、湯流れ性も悪いので、鋳造はねずみ鋳鉄より劣る。自動車用鋳物部品では、クランクシャフトナックル、デフ・ギヤケースなどに使用されている。最近は強度より高く必要とするもの、伸びをより必要とするものなど、用途合わせてその作り方変えている。

同義語 球状黒鉛鋳鉄
参照 強靭鋳鉄鋳鋼ねずみ鋳鉄
※「大車林」の内容は、発行日である2004年時点の情報となっております。

ダクタイル鋳鉄

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/22 02:48 UTC 版)

ダクタイル鋳鉄の顕微鏡写真。

ダクタイル鋳鉄(ダクタイルちゅうてつ、: ductile cast iron)とは、組織中のグラファイト黒鉛)の形を球状にして強度や延性を改良した鋳鉄である。「ダクタイル」とは「延性のある」という意味の形容詞である。また、その特徴的な黒鉛の形状から球状黒鉛鋳鉄ノデュラー鋳鉄とも呼ばれる。

概要

「鉄鋼」は炭素含有率で、鋳鉄などのとに分けられる。鋳鉄は炭素含有率が高いので、鋼より溶融温度が低く鋳造しやすい。また、鋳鉄中の炭素は固まるとき膨張して、全体の体積の縮みを補う。銑鉄鋳物の歴史が紀元前まで遡るのは、これらの特性故である。ところで通常、鋳鉄が固まるとき、炭素は結晶化して裂け目状もしくはサツマイモ状のグラファイト(石墨・黒鉛)となる。つまり、析出したグラファイトに応力が集中しやすく脆いことが、銑鉄鋳物の最大の弱点であった。

このため、白鋳鉄に焼鈍(しょうどん)を行いグラファイト組織を塊状に散在させることで強靭化する「黒心可鍛鋳鉄:鉄鋼記号 FCMB(Ferrum Casting Malleable Black)」が開発され、強靭性が求められる製品に採用されるようになった。但し黒心可鍛鋳鉄は、鋳造後に長時間の焼鈍工程を通るため、コストが割高となり、さらに肉厚製品には不適である。

1948年、H.Morrogh、W.J.Williamらが、接種法(鋳造する直前に非鉄元素を添加する方法)により、溶湯にCe(セリウム)を加えて析出するグラファイトを球状化させることに成功した。これによりグラファイトへの応力集中の度合いは最小化し、銑鉄鋳物の脆弱性を克服することができた。なお翌年には、Ceより安価なMg(マグネシウム)を添加する製造方法がA.P.Gagnebin、K.D.Millisらにより発表された。これが「ダクタイル鋳鉄:鉄鋼記号 FCD(Ferrum Casting Ductile)」である。なぜ、黒鉛が球状化するのか定説はないが、ある程度の脱酸によって発生の核を与えるものと考えられる。

低コストなダクタイル鋳鉄の登場で、強靭性が求められる製品の多くが、黒心可鍛鋳鉄から置換された。

ダクタイル鋳鉄は鋳放しのままでも鋼に近い強靭性を得られる反面、ねずみ鋳鉄(普通鋳鉄)のような優れた減衰能(振動を吸収する能力)は備えていない。そのため、現代の銑鉄鋳物では、ねずみ鋳鉄とダクタイル鋳鉄が用途によって使い分けられている。ダクタイル鋳鉄は、引張り強さ・伸びなどが優れ、ねずみ鋳鉄の数倍の強度を持ち、粘り強さ(靭性)が優れていることから、強度の必要な自動車部品、水道管ダクタイル鋳鉄管[1]などに数多く採用されている。

出典

  1. ^ 高機能ダクタイル鉄管を推奨します(日本ダクタイル鉄管協会(JDPA)ホームページ)

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