黄砂の源
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/29 07:39 UTC 版)
中国北西部やモンゴル南部における砂漠地方で、風に巻き上げられて南東方向に風塵として運搬されて堆積したものを黄土と呼ぶ。黄土はシルトを主とした細粒性の堆積物であり、その鉱物成分は、石英が多く、雲母や長石からなり、細かくは数十種類に分類されるため、多様な母岩から構成されていることが判明している。それらは発生源に近づくほど粒径は粗粒となり、地域毎に成分の差異が認められている。黄砂は、この砕屑物の粒子径が小さくなり、風に巻き上げられて自由大気に達し遠くまで運搬されて降下するものである。黄河流域の黄土の堆積する地域を黄土高原と呼んでいる。 フェルディナント・フォン・リヒトホーフェンは、高度に多孔質な黄土には農作物の成長に不可欠な鉱物質諸成分を土壌の毛細管構造によって不断に供給する「自己施肥能力」があるとする説を唱え、黄河文明は肥沃な黄土の上に発達した文明であるとする説が通説となっていた。これに対して近年、粒子が細かく粘り気の無い土壌は植物の成長に必要な栄養分をイオンの形で根から供給しうる程度が低く、かつ水土流出を引き起こしやすい痩せた土地で黄土もまた例外ではなく、黄河文明の中心になったごく一部の地域だけは長年にわたる耕作と湖沼堆積物や水草などを投与した施肥作業の結果によって土壌の性質が変化して肥沃になったとする反論が出されている。
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