魚と海産物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 15:33 UTC 版)
海産物は他の動物の肉ほど高級な扱いではなく、単に斎の日の肉の代替品とみられることもよくあったが、海岸地帯の住民にとっては重要な食物であった。中世人にとって「魚」とは陸生動物ではないものの総称であった。ここには海洋の哺乳類であるクジラ・イルカや、うろこ状の尾をもち潜水時間が長いビーバー、渡りの経路や繁殖地がわからないカオジロガンなどが含まれ、獣肉を避けるべき斎の日にも適切な食材とみなされた。きわめて重要だったのは大西洋やバルト海のニシン・タラ漁とその交易だった。ニシンは北ヨーロッパのほぼ全域で経済に比類ない意味をもっており、北ドイツの強力な交易ギルドであるハンザ同盟が取り扱う交易商品としても主要な位置を占めていた。北海産のニシンの燻製は遠くコンスタンティノープルの市場にも出回った。魚は新鮮なまま食されたほか、塩漬けや乾燥させることが多く、燻製はこれについで多かった。タラを二枚におろして竿に固定し乾燥させた干物は、木槌で叩いてから水に浸すなど下ごしらえに時間がかかった。カキ・ムラサキイガイ・ホタテガイなど各種の軟体動物は海岸や川沿いの住民に食された。中央ヨーロッパなど内陸地方の住民にとって魚は肉よりはるかに高価で、なかなか手が出るものではなかった。カワカマス・コイ・ブリーム・パーチ類・ヤツメウナギ・マスのような淡水魚はよく食された。
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