鬼界が島の段とは? わかりやすく解説

鬼界が島の段

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/13 13:58 UTC 版)

平家女護島」の記事における「鬼界が島の段」の解説

鹿ケ谷の陰謀企て平家転覆企んだ俊寛・成経・康頼の三人は、鬼界ヶ島流され三年。彼らの流罪には刑期がなく、死ぬまでこの島にいなければならなかった。食べあてもなく、たまにくる九州からの船に硫黄売ったり、海草食べたりして食をつないでいた。 物語は、この地に住む海女千鳥結婚することを成経が打ち明けるころから始まる。島にきて以来絶望的な状況の中起こった数少ない幸福な出来事歓びあう三人千鳥。そして形ばかりのことながら、成経と千鳥俊寛と康頼の前で祝言の杯を交わすのだった。 するとそこへ、大きな船が島を目指しやってくるのが見える。何事かと皆は驚くがそれは都からの船であった。船が浜辺に着くと中から上使妹尾降りてくる。妹尾は彼らの流罪恩赦されたことを伝える。建礼門院懐妊したため、平清盛恩赦出したのだ。夢かと喜びあう三人だったが、妹尾読み上げる赦免状中に、なぜか俊寛の名前だけ無い。俊寛赦免状を手に取り何度も内容確認するが、やはり自分の名前だけが見当たらない俊寛清盛から目をかけられていたにも関わらず裏切ったので、清盛俊寛対す怨み深くそれゆえ俊寛だけが恩赦受けられなかったのだ。妹尾はそう憎々しげ俊寛伝えた喜びの後の突然の暗転打ちひしがれ俊寛泣き叫ぶ。だがそこへもう一人の上使である基康が船から降りてきて、俊寛にも赦免状降りたことを伝える。俊寛にだけ恩赦与えられないのを見兼ね平重盛が、別個に俊寛にも赦免状書いていたのだ。これで皆が帰れる。そう安堵して三人が船に乗り込み千鳥がそれに続こうとすると、妹尾がそれを止める妹尾がまたも憎々しげに言うには、重盛赦免状に「三人を船に乗せると書いてある以上、四人目に当たる千鳥乗せることはできないというのだ。 再び嘆きあう三人千鳥に、妹尾追い撃ちをかける。妹尾が言うには、俊寛流されている間に、清盛の命により俊寛の妻の東屋殺されてしまったのだ。しかも東屋斬り捨てたのは妹尾であるという。都で妻と再び暮らす、そんな夢さえも打ち砕かれ俊寛は、絶望打ちひしがれる。妻のない都にもはや何の未練なくなった俊寛は、自分は島に残るから、かわりに千鳥を船に乗せてやるよう妹尾訴える。しかし妹尾はこれを拒絶し俊寛罵倒する思い詰めた俊寛は、妹尾指していた刀を奪って妹尾斬り殺す。そして妹尾殺した罪により自分はここに留まるから、かわりに千鳥を船に乗せるよう、基康に頼む。 こうして千鳥乗船がかない、俊寛のみを残して船が出発する。しかしいざ船が動き出すと、俊寛言い知れぬ孤独感さいなまれ半狂乱になる。船の手綱をたぐりよせ、船を止めようとするが、無情にも船は遠ざかる孤独への不安と絶望叫び出し、船を追うが波に阻まれる。船が見えなくなるまで、船に声をかけ続けるが、声が届かなくなると、なおも諦めず岩山へと登り、船の行方追い続ける。ついに船がみえなくなる。そして俊寛絶望的な叫びとともに幕となる。

※この「鬼界が島の段」の解説は、「平家女護島」の解説の一部です。
「鬼界が島の段」を含む「平家女護島」の記事については、「平家女護島」の概要を参照ください。

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