風杯型風速計
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/12 07:33 UTC 版)
垂直な回転軸の周りに3ないし4個の半球殻又は円錐殻の風杯と呼ばれる羽を有する垂直軸風車型の感部を有するものである。風杯に風が当たると、凸面よりも凹面の方が空気抵抗が大きいために、凹面が押される方向に軸が回転する。この回転を歯車式の機構や発電機、フォトインタラプタを用いたカウンタなどで検出し、数値や電気信号に変換して表示・出力することによって測定値を得る。特に機械式の機構によって回転数を積算し、風程(測定時間内における空気の移動距離)を表示する方式のものを発明者のロビンソン(イギリス人)にちなんでロビンソン風速計と称していた。 回転の有無及び回転数が風向に依存しないため、風の変化に対する応答性が高いのが長所だが、風向の観測には別に「風向計」を設置する必要がある。古くは風杯を4つ持つもの(四杯式)が主力であり、かつては気象庁のシンボルマークに図案化されていたほどだが、検出機構が機械式から駆動負荷の軽い電気式のものに移行するにつれて、軸周りの慣性モーメントが少なく応答性のよい三杯型に取って代わられている。 比較的小型に製作できることから、移動観測用に手持ち式にしたものや、工事現場等の環境測定に便利な三脚付きのものも製品化されている。 気象観測用として許容される性能は、距離定数が12m(風杯の直径が5cm以下のとき13m)以下、器差が風速10m/s以下において0.5m/s(風車の直径が15cm以下のとき1m/s)・風速10m/s超において風速の5%(同10%)とされている。
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