類似組織との比較
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/21 05:16 UTC 版)
NPOバンクと市民バンクを混同している例が時折散見される。(株)プレスオールターナティブ(以下PAと略称)代表の片岡勝が1989年に始めた「市民バンク」は、PAと永代信用組合(当時)の提携により始められた提携融資制度の名称であるが、実際に融資するのは信用組合の役割であり、PAが融資するわけではない。この提携融資制度はその後、東京都信用組合協会(現在は江東信用組合・青和信用組合が実施などにも広がりをみせた。NPOバンクは、市民バンクとは異なり、自らが融資を行う点が特徴である。 他方、社会的な目的を有したファンドが近年いくつか現れている。例えば、特定非営利活動法人北海道グリーンファンドや特定非営利活動法人グリーンエネルギー青森、市民風車の会あきたなど、いわゆる市民風車(市民出資による風力発電所)に対して、自然エネルギーに関心を持つ市民が出資する事例が増えている。また、PAの片岡らが中心となって、島根県民ファンドや大阪コミュニティービジネスファンドなどのコミュニティファンドを設立し、地元企業育成による地域経済活性化を図る動きもみられる。 こうしたファンドとNPOバンクは、環境や地域活性化といった理念や市民による出資という点では共通する面があるものの、直接金融か間接金融かという点で投資手法が異なっている。ファンドは直接金融であり、出資先候補のベンチャー企業に出資するか否かは個々の投資家が各自の責任で判断するのに対し、NPOバンクは間接金融であり、個々の投資先はNPOバンク自身が判断する。 多重債務者や生活困窮者の生活再建が課題としてあり、それらのために低利融資する生協(消費者信用生活協同組合、グリーンコープ生協)やNPO団体(一般社団法人 生活サポート基金)が存在する(マイクロファイナンス#日本におけるマイクロファイナンスも参照)。また、キリスト教会を基盤として信者の相互扶助を目的とした低利融資を行う日本共助組合も古くから活動を続けてきた。これらの組織も非営利金融機関であることから「広義のNPOバンク」として類型化されることもある。ただし、一般的に「狭義のNPOバンク」と呼ばれる組織は個人消費者対象というよりも、主に市民事業を対象として融資している。以下に狭義のNPOバンクについて記述する。
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