類似薬の開発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/06 04:07 UTC 版)
ジョンソン・エンド・ジョンソン社は光学異性体のうちS体 (エスケタミン(英語版)) のみを含有する点鼻薬を開発し、2013年にはアメリカ食品医薬品局(FDA)から治療抵抗性うつ、2016年には自殺念慮を伴う大うつ病性障害に対する「画期的治療薬」の指定を受けた。2019年2月には専門家パネルがFDAに対しエスケタミン点鼻スプレーの承認を勧告した。商品名SPRAVATOとして承認された。治験の際に一部の被験者で鎮静や視覚障害、発話困難、錯乱、麻痺、めまい・失神が見られたことから、投与は医療機関で行い、最低2時間は経過観察するという条件が付された。 日本では、千葉大学がケタミンのR体 (アルケタミン)、ヤンセンファーマがエスケタミンを研究している。 アメリカのノーレクス社は、2014年12月に、ケタミン様薬剤GLYX-13について、うつ病患者の約半数で症状を改善し、幻覚の副作用もなかったとする臨床試験結果を発表した。スイスのロシュ社も、グルタミン酸経路を標的とするdecoglurantを開発して臨床試験を行っていたが、第II相まで進めたところで期待する効果が得られないとして開発中止された。こうした研究の一方で、精神活性作用が弱いとはいえ(既に特許の切れた)ケタミンより、特許が有効で高額なケタミン様物質を用いることには倫理的な問題があるとも指摘されている。
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