面積と種数の関係
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/10 07:33 UTC 版)
島に生息する生物数についての説明については複数の説がある。詳細は種数面積関係を参照されたい。以下に、代表的な説である種数平衡説について説明する。 島の面積と生息生物種の数に密接な関係があることは、古くから指摘されて来た。一般的には、面積が広いほど多くの種数が生息可能である。これは、納得しやすい。島が広いほど、環境も多様である可能性が高く、個体群も大きいものが維持できるからである。事実、日本列島のような、ひとまとまりの島において、ある分類群を取り上げ、島の面積とその種数をグラフに書けば、面積と種数の強い相関をあらわす、一定の曲線が示せる。しかし、別の群島での同じようなグラフを書けば、また違ったものとなり、特に海洋島では、種数がはるかに少ない場合が多く、その理由に明確な説明を示せなかった。 これを打破したのが、R.マッカーサーとE.O.ウィルソンの種数平衡説である。彼らは、島の生物の個体群は、少しずつ入れ替わっているのだと考えた。まず、島の生物の個体群は、一定の確率で絶滅していると考えた。どのような個体群でも、絶滅の危機は存在するが、島ではそれは現実のものであって、特に島が小さければ、その危険はずっと大きくなる。これは、島が小さければ、維持できる個体数は小さくなるので、当然である。つまり、このままでは、島の生物は次第にその種数を減らしてしまう。 他方、島へ侵入する生物種も存在する。それがどのような形であれ、外から島へ入り込んだ生物のうち、ある程度の割合で、定着するものが出るとみなすのである。そうすると、そのような侵入する種の数は、何で決まるかと言えば、供給源、すなわち、大陸からの距離によって決まると考えた。大陸から遠ければ遠いほど、生物が到着する確率は低くなるから、侵入する種数は少なくなるわけである。 すなわち、島の生物種数は、次の2つの現象の影響下で、一定の値になると考える。1:島の面積が小さいほど、存在する生物種の絶滅確率は大きくなる。2:島が大陸から離れているほど、島に侵入する生物種の数は少なくなる。 この考えは、実際の島だけではなく、生息可能な環境が島のように離れ離れになっている生物の場合(例えば都市の中心にある自然公園や保護林)にも適用できる事から、重要な考え方である。
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