非西洋社会におけるインターセクショナリティ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 19:39 UTC 版)
「インターセクショナリティ」の記事における「非西洋社会におけるインターセクショナリティ」の解説
2009年に北京で行われたジェンダー研究の学会において「封建的なジェンダー観や家族観と家父長制の影響力が、中国からの移民労働者、韓国のセックスワーカーとその顧客、インドの未亡人、そしてウクライナの移民、新興中産階級に属すオーストラリア人男性の生活など」にもみられると結論づけられた。このように、国際的に見ると、クレンショーが当初想定していたよりも多く複雑な差別と抑圧の交差が存在していることが示唆される。 インド出身のポストコロニアル・フェミニストであるチャンドラー・モハンティは、国際的な女性同士の連帯におけるインターセクショナリティの役割を論じている。特にモハンティは、西洋のフェミニストによって提唱された、「世界的な非白人女性」といった属性やそこから示唆される「第三世界の女性」に関する理論を批判している。「第三世界の女性」は西洋のフェミニストによって、しばしば同質の存在として捉えられている。しかし、実際には、彼女たちの抑圧の経験は、それぞれの地理、歴史、文化などによって構築されており、西洋のフェミニストは、第三世界や南半球の発展途上国におけるフェミニズムの中で複雑に交差している固有のアイデンティティを見逃してしまっているからである。モハンティは、欧米のフェミニストの思考の根幹にある植民地主義的な考えが批判されず、諸外国との権力構造の関係性が考慮されない形でのインターセクショナリティの実践について疑問を投げかけている。植民地化の影響を今も受けている社会におけるフェミニズムの実践として、インドの女性が欧米諸国、及び、植民地化の影響を受けていない非欧米諸国と異なる状況下でフェミニズムを実践し、特有の複合差別を確認していることを論じている。
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