非常時の国権の継承順位
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/27 01:31 UTC 版)
十二国において通常の(あるべき)状態として考えられている体制は、上記のとおり王が主権を持ち、補佐役の麒麟と冢宰を筆頭とする諸官がその下にあるというものだが、実際にはそうでない体制も歴史上存在している。なお、王や麒麟、高位の官の性質上、ここでは断りのない限り、死ぬ=欠けるとして扱う。 十二国では麒麟が王を選ぶが、王が死んだ後すぐに麒麟が王たる人物を見つけられるとは限らない。また、失道によって麒麟が死んだため王が斃れた場合や、叛乱によって王とともに麒麟が討たれた場合などは、新たな麒麟が生まれ王の選定ができるまで待たねばならない。そのため、長期間に亘って王位が空くことがある。このような空白期間に備え、国権の継承順位が定まっている。 王が欠け、麒麟が欠けていない場合、麒麟と冢宰が協力して国を運営する。これと平行して、麒麟は王を探す。 王と麒麟が同時に欠けた場合、冢宰が仮王となり、仮朝を開いて空白期の国を運営する。 冢宰が何らかの理由で欠けている場合には、以下のようになる。 王と冢宰が欠け、麒麟が欠けていない場合、麒麟が新たに冢宰を任じ、麒麟と冢宰で国を運営する。 王も麒麟も冢宰も欠けている場合、慣例として六官の長である天官長が繰り上がって冢宰を兼務し、自動的に仮王に納まる。 王・麒麟・冢宰に加えて天官長も欠けている場合、六官三公の残りの人物の合議によりふさわしい人物を新たな冢宰として選び、その人物が自動的に仮王に納まる。 まとめると、王が欠けた後の国権の継承順位は、1麒麟、2冢宰、3天官長、4六官三公の合議、となる。実務的には、いかにして2の冢宰を決定するか、ということになる。王が死ぬと、次王が登極するまで御璽が印影を失い使用できなくなるため、白雉(王の崩御と同時に斃れる鳥)の足を切って、御璽の代わりとして使用するのが慣例である。 このシステムでは、4までの官吏が欠けた場合、空白期の国家の運営自体が不可能になる。2の冢宰以下は天の条理とは関係がないため、4までの官吏がすべて同時に欠けるのは、謀反や大規模災害の場合である。謀反の場合、乱の指導者が偽王として立つことで、天の定めた条理からは逸脱するが、空白期の国権の行使者が「問題なく」存在することになる。十二国の歴史を見ても、以下に述べる戴国の事例以外は、国権の保有者自体に空きが出たことはないとされている。
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