非対称な国の導入
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/01/03 07:45 UTC 版)
メリッツの2003年のモデルでは、全ての国が対称的であると仮定されているので、数学的分析が簡単化されている。しかし、国を非対称にすると数学的煩雑さが劇的に増し、理論分析は困難を極める。そこで、小国の仮定を置いて相手国のCES価格指数を通じた影響を無視することで解析を簡単化する方法が提案されている。 中国では賃金が低いことから国内市場の方が輸出市場よりも競争が激しく、非輸出企業の方が輸出企業よりも生産性が高いことが指摘されている。この実証的観察事実は、非対称な国をメリッツ・モデルに導入することで説明されている。また、この実証的事実は加工を専門に行う企業(英: Processing firms)の存在でも説明されている。 マーク・メリッツとジアンマルコ・オッタビアーノ(英語版)の2008年の論文でも、一方向的貿易自由化の影響が考察されており、内生的に国の経済状況が非対称になることが許容されている。 国が非対称な2国モデルにおいて、一方向的貿易自由化が国の成長パスに与える影響が検証されている。そこでは、実質賃金と消費可能なバラエティの数が内生的に決まり、国の厚生に影響する。そして、一方向的貿易自由化でも国の厚生が上昇し得ることが示されている。
※この「非対称な国の導入」の解説は、「新々貿易理論」の解説の一部です。
「非対称な国の導入」を含む「新々貿易理論」の記事については、「新々貿易理論」の概要を参照ください。
- 非対称な国の導入のページへのリンク