非対称スピンネーカー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/08 14:37 UTC 版)
「スピンネーカー」の記事における「非対称スピンネーカー」の解説
大きなジブに似ており、スピンポールから飛ばされる非対称スピンネーカーは新しいアイデアではなく、その歴史は少なくとも19世紀にまでさかのぼる。しかし1980年代になって、新たな発想のスピンが登場した。 1960年代以降、カタマランクラスをはじめとする多くの高速セーリング艇において、帆が風をはらんでいない状態で直接風下に向かうよりも、帆を横切る効率的な気流で一連の広い範囲を風下に向かって航行する方が速いことがわかっていた。アンドリュー・バックランドは、18フィートのスキフがスピンポールをフォアステイにつけたままセーリングできることやポールをなくしバウスプリット(固定式または格納式)にスピンをセットすることで簡素化を図れることに気づいた。こうした発想はすぐに、古いジブスタイルの非対称セールよりも従来のスピンによく似たラフが緩やかなセールに進化していった。このような格納式のバウスプリットと非対称スピンを組み込んだ最初の近代的なオフショアヨットは、J/Boats J/105であった。 このようなスタイルは、セーリングの世界に急速に広まった。セールのタックは、ジェノアのように船首に取り付けることができるが、多くの場合、バウスプリットに取り付けられる。スピンが特別なバウスプリットに取り付けられている場合、スピンとジブを同時に張ることもできる。そうでない場合、スピンはジブによって邪魔されてしまうため、スピンの使用中はジブを巻き上げる必要がある。 非対称スピンにはジブと同じように2本のシートがあるものの、ラフの長さに沿ってフォアステイに取り付けられておらず、セールの角にのみ取り付けられている。対称スピンとは異なり、非対称のものは船首またはバウスプリットに固定されているため、スピンポールを必要としない。ジャイブの際には、1本のシートを解放し、もう1本のシートを引っ張ることで、フォアステイの前方で帆を張り替えるだけなので、ポールを付け替える必要のある対称スピンと比べて非常に簡単である。非対称スピンは対称スピンを用いた場合よりも風下に直接航行するのには適していないため、代わりに艇は風下にジグザグコースを航行し、大きくジャイブをする。艇のスピードに応じて船から見て「見かけの風」が発生するため、スピードが出るとより風下に航行できるので、高速滑走ディンギーに特に効果的とされる。また、扱いやすさが重要なクルージングヨットにおいてもクルージングスピンネーカーやクルージングシュートの形で特に役立つ。
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