非フェルミ液体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/30 08:51 UTC 版)
「非フェルミ液体」または「異常金属 (strange metal)」という言葉が、フェルミ液体的ふるまいの消失を示す系で用いられる。そのような系の最も簡単な例は、1次元の相互作用するフェルミ粒子系であり、ラッティンジャー液体と呼ばれる 。ラッティンジャー液体は物理的にはフェルミ液体と似ているにも関わらず、1次元への制限によって運動量依存スペクトル関数に「準粒子ピーク」が無いこと、スピン-電荷分離、スピン密度波の存在などの定性的な違いが生じる。1次元では相互作用の存在を無視できず、必ず非フェルミ理論的な取り扱いをしなければならない。ラッティンジャー液体はそのような理論の一つである。1次元における小さな有限スピン温度では、系の基底状態はスピンインコヒーレントラッティンジャー液体(SILL)によって記述される。 そのような振る舞いの別の例は、重いフェルミ粒子やモット絶縁体の臨界現象、銅酸化物超伝導体相転移などの二次相転移の量子臨界点で観測される。そのような転移の基底状態は、よく定義された準粒子が存在しないにも拘らず、シャープなフェルミ面の存在によって特徴づけられる。すなわち臨界点に近づくと、準粒子留数(quasiparticle residue) Z → 0 {\displaystyle Z\to 0} が観測される。 非フェルミ液体のふるまいを理解することは物性物理学において重要な問題である。これらの現象を説明するアプローチとして、「マージナルフェルミ液体」の取り扱い、臨界指数を理解しスケーリング則を導出する試み、ホログラフィックなゲージ/重力双対をもつ「創発的」ゲージ理論を用いた記述がある。
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