霊性と世俗の間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/27 06:05 UTC 版)
十字軍の主要な従軍者は貴族でも相続権を持たない子弟か、また貧しい下級騎士が一山あてようと財産目当てで志願したものであった。一方では十字軍運動に参加した当時の人々にとって重要なのは、地上の富だけでなく霊的(精神的)な富であったとの考えもある。一般的には十字軍士を駆り立てたものは、宗教的情熱、名誉欲、冒険、領土・財産欲の組み合わせであり、その比重は人と時代により違う。 数ある研究の一つは、宗教的情熱は従来想像された以上に強かったのではないかと述べている。ケンブリッジ大学の歴史学者ジョナサン・ライリー・スミス(英語版)は自身の研究によって、十字軍への参加が出発時にそれなりの出費を強いるものであったことを明らかにしている[要出典]。中心的な存在であった諸侯層、ヴェルマンドゥワのユーグやノルマンディー公ロベール、トゥールーズ伯レーモン・ド・サンジルなどは資産を売り払って十字軍の編成費用を捻出している。 現世的な富よりも宗教的な情熱が騎士を動かしたことの証左として、ゴドフロワ・ド・ブイヨンと弟のブルゴーニュ伯ボードゥアンが、かつて教会と争ったことの償いとして、自らの土地を教会に寄進して出発したことが挙げられる。もっともその寄進記録は聖職者が書いたもので、ゴドフロワ自身が書いたものではないため、信仰深い騎士として美化している部分はあるが、2人の財産が教会所有となったのは確かである。
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