陪審対審
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/03 08:57 UTC 版)
陪審対審(英語版)の場合は、対審に先立ち、陪審員の選任が行われ、選任された陪審員に対し、裁判官から一般的な任務についての説明が行われる。 対審の最初に、双方の代理人(原告側と被告側、検察官と弁護人)が冒頭陳述 (opening statement) を行う。これは、これから証明しようとする事実を陪審に伝えるものである。冒頭陳述は、原告側が先に行うことが通例である。 続いて、証拠調べが行われる。証人尋問では、証人の宣誓の後、主尋問(英語版)、反対尋問(英語版)、再主尋問(英語版)といった順序で行われる。不適切な尋問が行われたときは、反対当事者は、即座に異議(objection)を述べなければならず、その場で異議を述べなかった場合は異議を放棄したものとみなされ、後で争うことはできない(simultaneous objection rule)。証拠調べにおいて、原則は証人は自ら目撃した事実のみを述べるだけに限られ、個人的見解を述べることは許されていない。但し、当該事件の専門家(大学教授や実績のあるエンジニアなど)を専門家証人として、事件に関わる見解を述べて証言とすることができる。専門家証人は原告・被告とも証言を依頼することができる。 証拠調べが終わった段階で、双方代理人が最終弁論(英語版)を行う。これは、証拠調べで提出された証拠をもとに各自の主張をまとめるものである。 最終弁論の前又は後に、裁判官が陪審に対し、(1)適用すべき実体法、(2)事実の証明責任の所在や、事実を認定するために必要な証明の程度などの証拠法、(3)評決に至るための手続について説示(instruction; charge)を行う。アメリカでは裁判官による証拠の評価に立ち入らないのが通常であるが、イギリスでは裁判官による証拠の評価が比較的詳細に述べられ、説示のことをsumming-upと呼ぶ。 その後、陪審は法廷から評議室に下がり、評議(deliberation)を行う。そして、結論である評決(verdict)に至った場合は、法廷でそれを答申する。 評決に必要な全員一致又は特別多数決が満たされない場合は、最終的には評決不能(hung jury)による審理無効(mistrial)となる。審理無効の場合は、通常、対審を最初からやり直すこととなる。
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