陪審審理の放棄
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 09:19 UTC 版)
アメリカの刑事事件の大多数は、陪審の評決ではなく、司法取引によって決着している。すなわち、被告人がアレインメント(arraignment; 罪状認否手続)で有罪の答弁 (plea of guilty) をする代わりに、検察官は起訴する罪の数を減らす、軽い罪で起訴する、裁判所に対し軽い刑を求めるといった取引が行われる。被告人が有罪の答弁をした場合は、対審(陪審又は裁判官による事実審理)の権利も放棄されるため、裁判官が量刑を決め判決を下すだけである。多くの州で、一審に起訴された重罪 (felony) のうちトライアルに持ち込まれるのは10%足らずである(#統計の項も参照)。また、トライアルが行われる場合でも、被告人が陪審審理を放棄すると、裁判官による審理 (bench trial) が行われる。 ただし、合衆国憲法上、被告人が陪審審理を放棄できる(裁判官による審理を要求できる)という無条件の権利は与えられておらず、連邦裁判所では検察側の同意と裁判所の承認があった場合のみ、被告人は陪審審理を放棄できる。州でも、陪審審理の放棄を無条件で認めているところは少なく、裁判所若しくは検察官の同意、又はその両方を必要としているところが多い。
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