院内がん登録
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/07/22 15:34 UTC 版)
院内がん登録とは、病院で診断・治療された全ての患者さんのがんについての情報を病院全体で集め、その病院のがん治療がどのように行われているかを明らかにする調査である。この調査を全国の病院が同じ方法で行うことで、情報を比較し病院ごとの特徴や問題点が明らかになると期待されている。 具体的には、病院ごとに、がん検診で見つかるのか他の病気でかかっているうちに発見されるのかなどの受診までの経過の違いや、がんの種類ごとにどのような処置や手術が行われているのかなどの治療法の違いがわかるようになる。調査が精密で正確になれば、治療成績の差などの要因を分析することも可能になる可能性がある。 集計の対象となる病院は、全国のがん診療連携拠点病院と、2011年からは都道府県から推薦された施設などからもデータの提供がされており、がん診療連携拠点病院等院内がん登録全国集計として毎年報告書が報告されている。報告書では施設別の症例数が掲載され、最新の報告書は、国立がん研究センターが運営するがん情報サービスHPにおいてみることができる。 さらに、がん診療連携拠点病院の院内がん登録による5年相対生存率も集計されている。これは、全国のがん診療連携拠点病院のがん登録について、治癒の目安とされる5年経過したときのステージ別相対生存率を都道府県別に集計し、全がんおよび主要5部位(胃、大腸、肝臓、肺、乳房)の結果を報告書にまとめたものである。これも、がん情報サービスHPで閲覧が可能である。 院内がん登録は、全国規模で行われてきたがん登録として、様々な活用がなされている。例えば、患者が自分のがんで受診する病院を探したい、ということがあれば、国立がん研究センターがん対策情報センターの電話相談「がん情報サービスサポートセンター」では、院内がん登録のデータベースを検索することで、実績のある病院を案内してくれる。もっとも、データは必然的に過去の診療実績となることから、現在の状況が異なる可能性などには注意する必要がある。
※この「院内がん登録」の解説は、「がん登録」の解説の一部です。
「院内がん登録」を含む「がん登録」の記事については、「がん登録」の概要を参照ください。
- 院内がん登録のページへのリンク