防空任務とシステム化の進展
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/25 05:15 UTC 版)
「射撃盤」の記事における「防空任務とシステム化の進展」の解説
1916年には、イギリス海軍で傾角測定儀(Inclinometer)が開発された。これは現時点での目標の進行方向(的針)を即座に求めるための分像上下合致式望遠鏡であった。そしてその後、機械式計算機と組み合わせることで、目標の速度(的速)を算出する機能が付加され、測的盤として発展したのち、最終的には射撃盤の一機能として統合されていくことになる。 従来、射撃盤を含む艦砲関連の諸装置は、全て対艦兵器システムとして発展してきた。しかし第一次世界大戦で航空機が実戦投入されたのを受けて、戦間期には、防空という新しい任務が導入された。従来の方位盤・射撃盤に対空兵器としての性格を付加するほか、専用機の開発も着手された。いち早く対処に着手したアメリカ海軍が1927年に完成させた方位盤Mk.19では、射撃盤は組み込み式となっていた。また大日本帝国海軍が1933年に制式化した九一式高射装置でも、方位盤と射撃盤は統合されていたが、測距儀が別置きとなっていた。 イギリス海軍が1931年より配備した高角射撃指揮装置 (HACS) では高角方位盤(HA director)と高角盤(HACT)が用いられていたが、これらは別置きとされていた。またアメリカ海軍でも、重量級のMk.37方位盤では射撃盤は分離して設置されるとともに、機械式計算機ではなくアナログコンピュータを使うように再設計した射撃指揮コンピュータMk.1が導入された。 そして、射撃盤を含めて射撃統制のための諸装置はもともと相互に関連性が高く、機能の複雑化とともにシステム統合も進展したことから、第二次世界大戦後には、射撃指揮システム(FCS)として総称されるようになった。
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