防災情報での「余震」という表現の問題点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/19 00:58 UTC 版)
「余震」の記事における「防災情報での「余震」という表現の問題点」の解説
大きな地震の発生直後には一連の地震活動が本震-余震型(最初に発生した地震が最大規模である地震発生様式)であるかどうか見極めることは困難である。 2016年に発生した熊本地震では4月14日の地震発生後、気象庁は「今後3日間に震度6弱以上の余震が起きる可能性は20%」と公表した。このように気象庁では最初に発生した地震(M6.5)を本震とみなして余震確率を発表したが、実際には16日にM7.3の地震が発生して時間経過とともに当初の地震活動域が拡大する経過をたどった。 2016年の熊本地震における地震の見通しに関する情報については次のような課題が指摘された。 内陸地殻内で発生するM6.4以上の地震については、従来の本震-余震型(一連の地震活動において、最初に発生した地震が最大規模である地震発生様式)に対する余震確率評価手法(地震調査委員会、1998年)の判定条件が妥当しないとみられること。 「余震」という言葉には、最初の地震より規模が大きな地震や強い揺れは発生しないという印象を情報の受け手に与える可能性があること。 余震確率の値(確率値)が、通常生活の感覚からは、かなり低い確率であると解釈され、安心情報として受け取られた可能性があること。20%という確率は平常時と比べると非常に高く、十分に注意する必要があったが、住民の中には逆に「わずか20%」と解釈しそのまま自宅にとどまる人も多かった。そのため、16日に発生した本震で家屋の下敷きになるなどの死傷者が多発する結果を招いた。 気象庁は熊本地震を教訓にした地震の報道発表の見直しを同年8月19日に行った。これに伴い、誤解を生じさせやすい大地震発生後の「余震」という表現と「余震確率」の発表を廃止すると発表し、震度5弱以上の地震が発生後の1週間は同じ規模の地震への警戒を呼びかけ、その後の状況に応じて「震度6弱以上となる地震の発生確率は平時の30倍」などと公表するように見直された。
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