長岡とバックロードホーン型スピーカー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/23 00:25 UTC 版)
「長岡鉄男」の記事における「長岡とバックロードホーン型スピーカー」の解説
長岡がバックロードホーン型スピーカーの設計に注力したのは、オーディオ業界における「バックロードホーンは音が悪い」という通念に挑戦し、他方式では得られないバックロードホーン型スピーカー特有の持ち味・利点を強く主張したかったからである。バックロードホーンは、1980年代以降は、メーカー製にはほとんど見られなくなり、長岡は「メーカー製に差をつける」とそのメリットを主張してリファレンスに採用した。20cm高能率フルレンジユニット2発と高能率ホーントゥイーターの2ウエイ自作バックロードホーン、そしてこれに自作スーパーウーファーを組み合わせたものが、70年代末から80年代半ばにかけての、長岡邸におけるメインスピーカーシステムであった。逆に言えば、長岡が理想とするような「生に近い音」がメーカー製スピーカーには存在しなかったということである。 しかしながら、1987年(昭和62年)に長岡が建設した専用オーディオルーム:方舟のメインシステムのスピーカーは、ホームシアターの大きなスクリーン両脇に設置する関係で縦長(高さ2.7m)の共鳴管方式スピーカー「ネッシー」が採用された。このシステムが以降の長岡のメインシステムであり、母屋のバックロードホーンはサブシステムという位置づけになった。ただし、オーディオ機器のテスト等では、スワン型バックロードホーンを専ら使用していたのも事実である。これについて長岡は「わずかな差を拡大してみせるのは最もシンプルなシステムである」「当初は自分自身も高級アンプのテストに使うのはためらいがあったが、 スワンは実力差に比例した鳴り方になるので被テスト機の違いがよく分かり、テストにはベストという事でメーカーとも意見が一致した」と述べている。 なお、同じくメーカー製にほとんどないスピーカーシステムとして、長岡はダブルバスレフ方式のスピーカーを設計している。ただしこれらは、オーディオ誌上の読者向けスピーカー工作記事では紹介され、その低音再生能力を長岡は自画自賛していたが、長岡自身は自分用としてそれらダブルバスレフのスピーカーは使用していない。また長岡はメーカー製スピーカーに対抗して似たようなスピーカーを設計する事もあり、例えばBOSE901を参考にした音場型スピーカーを設計しており、決してメーカーが作らない方式のスピーカーにこだわっていた訳ではない。
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