鉄筋コンクリート構造物の塩害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 04:43 UTC 版)
「塩害」の記事における「鉄筋コンクリート構造物の塩害」の解説
鉄筋コンクリートにおける塩害とは、以下に示すメカニズムによって発生する。 コンクリートに侵入した塩分中の塩化物イオンが鉄筋を腐食させ、膨張が生じる。鉄筋の膨張に伴い、コンクリートに引っ張り力がはたらき、ひび割れを生じる。コンクリートのひびは、ますます腐食物質(水、酸素、二酸化炭素、塩化物イオンなど)の侵入を許し、鉄筋の劣化、コンクリートの剥落へと発展する。主に海水が原因とされているが、コンクリートの骨材である海砂や、近年では道路面の凍結を防止するために散布する凍結防止剤による塩害なども原因に挙げられている。日本では、高度経済成長の時代に建築された建物や土木構造物(高架橋やトンネルなど)においてコンクリートの崩落が起きており、これらは充分に洗浄・脱塩が行われていない海砂や砂利が原因となっているのではないかと指摘されている。 塩害を防止する対策として、かぶりを十分大きくとること、コンクリート表面および鉄筋表面に合成樹脂などのコーティングを施すこと、材料に海砂などの塩化物イオンを含む骨材を使用しないこと、海砂を利用する場合は十分に洗浄したものを使用すること、などが挙げられる。 広島市の市営基町高層アパートで、1986年から4年間・約40億円を掛けて、日本初の塩害に伴う大改修が行われた。
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