鉄器時代の特徴
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/28 01:51 UTC 版)
鉄器の原料となる砂鉄や鉄鉱石などは青銅器の原料である銅鉱石やスズ鉱石にくらべて偏在が少なく、世界の多くの地域において容易に入手が可能なものであった。このため、鉄器製造が可能になると世界各地でその土地の原料によって製鉄が試みられるようになり、金属器の増産をもたらした。また鉄は加工が容易なうえに強度が強く、武器や農具などの原料として適していたため、製法が伝わった地域においてはどこも青銅に代わって鉄を金属器の中心に据えるようになった。ただし青銅も全く使われなくなったわけではなく、青銅器は祭器や装飾品などに使用されるようになっていった。鉄の農具や武器が量産されるようになると、農作物などの生産量が増大して富の蓄積が一層進み、また各地の王がより強力な軍事力を保持するようになっていった。やがて蓄積された富と武力は周辺地域の統合へと向かい、オリエントにおいては初の統一帝国であるアケメネス朝ペルシア帝国が成立し、インドにおいても十六大国などの王朝群が成立したのちそのうちのひとつであるマガダ国が強大化してマウリヤ朝によって統一され、中国においても春秋戦国時代を経て秦王朝による中国統一が成し遂げられ、それに続く漢王朝(前漢・後漢)によって中国の統一状態が固定化されるなど、各地で強大な統一王朝が成立するようになった。また、これら先進地帯においては社会の複雑化が進んだため、思想体系の確立も進み、哲学史的に「枢軸時代」と呼ばれる、紀元前500年ごろの世界同時の思想的一大変動が起きることとなった。このほか、青銅器時代においては国家を形成していなかったヨーロッパや中央アジアのステップ地帯、サハラ以南アフリカや日本などにおいても、鉄器の普及による富の増大と偏在は権力の集中を促し、国家が成立していくようになった。
※この「鉄器時代の特徴」の解説は、「鉄器時代」の解説の一部です。
「鉄器時代の特徴」を含む「鉄器時代」の記事については、「鉄器時代」の概要を参照ください。
- 鉄器時代の特徴のページへのリンク