鉄分の貯蔵
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/12 09:08 UTC 版)
フェリチンはあらゆる細胞型に存在し、鉄を無毒化して貯蔵し必要な場所へと運搬する。この機能は全てのフェリチンタンパク質に共通しているが、同じ遺伝子に由来するフェリチンタンパク質でもその機能や構造は細胞型によって異なる。その調節は主にmRNAの量と安定性によってなされている。さらに、mRNA濃度は、その保存の過程や転写の効率が変更されることによって調製されている。一般的にフェリチンの産生量は鉄の濃度によって管理されている が、腹足類のLymnaeaの卵黄フェリチンは鉄反応部位を欠いており、鉄の濃度に依存しない。 遊離の鉄イオンはフェントン反応により有害な活性酸素種を生成するため、細胞に対して有毒である。脊椎動物は鉄の毒性を回避するために、フェリチンやヘモジデリンといったタンパク質複合体に鉄を結合させて無害化させる。具体的にはアポフェリチンは第一鉄と結合し、第二鉄の状態で鉄を保存する。細網内皮系の細胞内でフェリチンが蓄積すると、タンパク質凝集体となりヘモジデリンが形成される。 フェリチンは、軟体動物などの殻を有する生物において生体内鉱質形成にも関与する。殻における鉄の濃度と分布を制御し、殻の形状や色を決定する。多殻類ではフェリチンは、歯舌の形成のために歯舌へ鉄を輸送する血リンパに役割を持つ。 フェリチンは分解されることによって鉄を放出し、その分解は主にリソソームによって行われる。
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