金星人観の変化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/02 15:08 UTC 版)
金星は地球とよく似たサイズの惑星で、1761年には地球と同様に大気を持つことも発見されていた。このため、金星探査機による詳細な観測が行われる以前は、金星は地球にある程度似た気候なのではないかという想像がなされた。金星は地球よりやや暖かく熱帯のような気候だという説もあり、金星生命、ひいては金星人の可能性は十分にありうると考えられていた。この時期のSF、とりわけスペースオペラでは、金星人は火星人と並んで人気のあるテーマだった。超常現象では、ジョージ・アダムスキーのコンタクト証言もこの時期(1952年)である。 しかし、1960年代以降の惑星探査によって、実際の金星表面は90気圧の高圧と460℃以上の超高温の世界であることが明らかになった。1967年にソヴィエト連邦のベネラ4号が高層の温度測定に成功した後、1975年のベネラ9号以降で着陸に成功し、金星表面の温度と気圧が初めて直接に測定された。この環境は、地球上で知られている好熱菌の生育可能温度よりはるかに高温である。 なお、金星に原始的生命が存在する可能性は完全に否定されたわけではない。高度50km程度の大気中に生命が生存できるのではないかという研究がある。金星表面は生物にとって苛酷な環境だが、大気の上層に行くにつれ気圧や気温が適度に低下するためである。ただし仮に存在するとしても、知的生命体ではなく浮遊性の微生物だろうと考えられている。
※この「金星人観の変化」の解説は、「金星人」の解説の一部です。
「金星人観の変化」を含む「金星人」の記事については、「金星人」の概要を参照ください。
- 金星人観の変化のページへのリンク