金属アレルギーとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 固有名詞の種類 > 病気・健康 > 病気・けが > 病気 > 皮膚疾患 > 金属アレルギーの意味・解説 

金属アレルギー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/08 14:30 UTC 版)

金属アレルギー(きんぞくアレルギー)は、金属が原因で起こるアレルギーである。主にIV型アレルギーである。

メカニズム

アレルギーはタンパク質に対し起こるものなので、金属が直接にアレルギーを起こすわけではない。つまり、金属はアレルゲンではない。金属から溶出した金属イオンが、人体が本来持つタンパク質と結合し、アレルゲンとなるタンパク質に変質させる。

症状

金属との接触部に起こる接触皮膚炎(部位によっては粘膜炎)が代表的である。金属イオンが血流によって全身に運ばれると全身性皮膚炎を起こすこともある。

金属の種類

金属アレルギーを起こしやすい金属としてはニッケルコバルトクロムがある。一方ではアレルギーを起こしにくい。近年インプラントで多用されるチタンや、宝飾品に用いられるタンタルジルコニウムもアレルギーを起こしにくい。それは化学的に安定な不動態を形成し、金属イオンが溶出しないからである。

アレルギーを起こしやすい金属は、合金になっていたりメッキされたりメッキに用いられたりしていることもあるので注意が必要である。また、チョコレート(ニッケルを含む)等の様に、食べ物に含まれている場合もある。

原因物質

  • ピアス - 皮下組織と直接接触するため金属アレルギーを起こしやすい。
  • 装身具腕時計眼鏡など - 表皮のみに接する器具は金属アレルギーを起こしにくいが、逆に金属アレルギーに対する配慮が少なく、器具の使用者も多いため発症者多数。このため、近年では眼鏡、腕時計にチタンが多く使われるようになっている。

歯科用金属

歯科用金属による金属アレルギーの報告が近年増加してきている[1]。原因はアレルゲンとなりえる金属元素イオン化して溶出し、アレルギー症状を引き起こすからである[2]。この場合、掌蹠膿疱症扁平苔癬、ついで接触性皮膚炎が多い[1]。症状や検査結果により、歯科用金属が原因であると判断された場合、外用薬内服薬の使用では治癒しない[3]ため、金属抗原除去などの治療が行われることもある[4]歯列矯正の場合、金属元素を有さないワイヤーやブラケットを使用することでアレルギー症状を回避する[2]

検査

パッチテストが有名。皮膚に金属をしばらく密着させてアレルギーが生じるか、調べる検査である。ただし、パッチテストでは判明しない(陰性と出る)ことも多いので、あまり当てにはならない。

これは上記のメカニズムの項で述べたように、金属そのものがアレルギーを起こすのではなく、金属とタンパク質との化合物が原因物質であるため、パッチテストでは判明しにくいからである。

治療

医学的療法としては、皮膚・粘膜の炎症に対してはステロイド外用剤を外用する。その他、痒みが強い場合には抗アレルギー剤を使用する。

歯科金属アレルギーの場合には、原因となる口腔内の金属を除去し、別種の金属や陶材などにすることによって症状が軽快することがある。

脚注

  1. ^ a b 樋口繁仁 & 小松正志 2005, p. 173.
  2. ^ a b 相馬邦道・飯田順一郎・山本照子・葛西一貴・後藤滋巳 2008, p. 350.
  3. ^ 坂下英明 2000, p. 140.
  4. ^ 樋口繁仁 & 小松正志 2005, p. 176.

参考文献

関連項目

外部リンク





固有名詞の分類

このページでは「ウィキペディア」から金属アレルギーを検索した結果を表示しています。
Weblioに収録されているすべての辞書から金属アレルギーを検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。
 全ての辞書から金属アレルギー を検索

英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「金属アレルギー」の関連用語

金属アレルギーのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



金属アレルギーのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの金属アレルギー (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS