酵素反応の段階
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/28 06:46 UTC 版)
ポリケチドの合成は、生成物の伸長を伴う重合反応である。 開始段階: スターター基質は通常アセチルCoA(またはその誘導体)であり、アセチル基が開始モジュールのATドメインの触媒により同モジュールのACPドメイン上に結合する。 伸長段階: 開始段階が終わると、ポリケチド(開始段階ではアセチル基)は開始モジュールのACPドメインから、次のモジュールのKSドメインの触媒によりこのKSドメインへと移動させられる。 伸長段階の基質は通常、マロニルCoAかメチルマロニルCoAであり、ATドメインの触媒によりACPドメインへと結合する。 ACPドメインと結合した基質は、KSドメインに触媒されることで、KSドメインと結合したポリケチドと二酸化炭素の排出を伴うクライゼン縮合する。この縮合でポリケチド鎖は基質のケトン部分を付加され、伸長する。縮合反応は同一モジュールのKSドメインとATドメイン間で触媒され、新たに伸張したポリケチド鎖はATドメインへと移動する。移動したポリケチド鎖は、次のモジュールのKSドメインへ移動し上記と同様の反応が触媒されるため、ポリケチド鎖は鎖長を伸ばしながら場所を一つずらして移動する。 各モジュールでは必要に応じて修飾ドメインが働き、ポリケチド鎖の断片を変化させる。KRドメインはβ-ケト基をβ-ヒドロキシル基に還元し、DHドメインは断片を脱水することでα-β-不飽和アルケンにし、ERドメインはα-β-二重結合を単結合に還元する。これらの修飾ドメインが実際に作用するのは伸長部分ではなく、その直前に伸長部分だった部分(直前の伸長反応の現場となったモジュールと結合していたときの伸長基質)であることに注意が必要。 以上の工程は各伸長モジュールで繰り返される。 注意:この工程はI型のモジュール型のものであり、反復型では単一モジュール上で繰り返し触媒される。 終止段階 ACPドメインからTEドメインへとポリケチドが移動する。 TEドメイン上で加水分解、または環化反応が触媒され最終生成物が放出される。
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