都市伝説としての「パニック」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/26 05:20 UTC 版)
「宇宙戦争 (ラジオ)」の記事における「都市伝説としての「パニック」」の解説
しかし近年の研究ではパニック現象が起きたとする主張は完全に否定されており、番組を事実と信じたリスナーはほとんどいなかったことが明らかにされている。 全国の警察に膨大な量の問い合わせの電話があったことは事実であるが、それ以上の行動が起こったという証拠はほとんどない。ニューヨーク等で放送を聞いたショックにより病院へ運ばれた人がいたとか、ボルチモアで聴取者が心臓発作を起こした、逃走しようとした市民が交通事故を起こしたなどという話は事後の検証で全く確認できず、多くの新聞に掲載された「猟銃で火星人を待ち受けるグローバーズ・ミルの農場主」の写真も放送翌日にカメラマンの要請で撮られたヤラセ写真であることが判明している。実際のパニックはごく僅かなもので、当時まだ若いメディアであったラジオに対して、警戒心をあらわにしていた新聞がことさらにバッシングを行ったことが都市伝説化したものだとする説も有力である。 ラジオ番組『宇宙戦争』そのものの聴取率もきわめて低く、わずか2%にすぎなかった。「ラジオドラマの放送直後、放送局や関係拠点を州兵が厳重警備した」「オーソン・ウェルズや放送局を相手に大量の訴訟が起こされた」といったキャントリルが引用した新聞報道も、まったくの誤報だったことが確認されている。 ウェルズ自身も後年、「パニックが起きたというのは新聞記者たちの思い込みによるでっちあげだった」と回想している。 しかしパニックが起きたとするセンセーショナルな新聞記事があふれ、メディアの中で事実にもとづかない都市伝説が形成されたこと自体は事実である。またこの放送をきっかけにオーソン・ウェルズはハリウッドで急速に名声を獲得してゆく。
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